第60話
「く、詳しいね……さすがストーブの精」
『?』
私の言葉に、彼は顔をしかめたまま首を傾げる。
「私、あなたのこと、電気ストーブの精だと思ってて……」
『なんだよ、それ……ランプじゃあるまいし……』
そう言って口元を綻ばす彼の……自然な……息づかいと口調。
本当に……生身の人間と話しているみたいだ。
「だって、いきなり取扱説明書みたいな事、言いだすから……」
私は、ベッドから降り立って、部屋の中央で赤々と灯っているストーブの前にしゃがみ込んだ。
すると、彼も私の隣に移動してきて、音もなくその場に膝をついた。
『そんなの常識の範囲だろう?………ああ、でも、そうだな……何故、それを常識だと……思えるんだろう』
戸惑うような彼の声が、どこか遠い世界を辿ろうとしているように感じられて、何故か急に寂しくなる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます