第12話




****




もう、あの頃のような幸せな家庭には戻れない。




痛感させられた。




「っっ、ねぇ、貴方?」



「……何だ?」




向けられる、冷たい目。




「あの、」



その瞳に、萎縮する。




「はぁ、俺は忙しんだ。」



「……、」



「用があるなら、さっさと言ってくれないか?」




その全身で、夫は私の事を拒絶していた。




自分の妻を。




「っっ、今日、は、家に帰っていらっしゃるの?」



不安な心を覆い隠し、私は笑みを作る。




貞淑な妻の仮面を被って。

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