愛とか恋とかどうでもいいから、そんなことより金をくれ
煌皇
学校生活なんて生産性のかけらもないものでは?
春
それは誰にも平等に訪れる終わりと始まりの季節
なんてことをよく言うが、本当に馬鹿なんじゃないかと思う
しがない10代にとって終わりといえば修了式で始まりといえば始業式ってのが一般の意見
ただ私にとっちゃただただ怠いだけの季節だ
訳のわからないほど、泣きじゃくって、また会おうねなんて言い合ってる奴らをみると、本当に嫌気がさす
あんたら結局は何週間後かに会うだろ?
そんでもって、変わってないねぇなんてゆうんだろ?
変わるわけねぇだろが、馬鹿が
なんてことを教室の片隅、桜を見ながら思っていた
あぁ、どうしてこうも私はひねくれてるんだろう
クラス替えしたら、普通の人なら一喜一憂するんだろうけど、結局はそれは今までの人間関係的なものからくるもので、私のような新しい人間関係も今の人間関係も煙たがる人間には関係のない話だ
「みーちゃん!同じクラスなんだ!」
でたでた、出ました、一喜一憂人間代表女
「あっ、ゆり、一緒だねぇ」
これぞ、ザ・空返事
「そうだよぉ!全然知らない人ばかりだったらどうしようと思ったけど、みーちゃんが一緒なら心強いよ!」
この子の名前は宍戸由梨
セミロングの黒髪に白い肌、可愛らしい声に優しい笑顔という全ての男子が食いつきそうなよくいる清楚系美人だ
「そだねぇ」
はぁ、早くどっかいってくんねぇかなぁ
あんたくらいの美人なら私なんかじゃなくてもすぐに友達くらいできるだろ
「みーちゃん、相変わらずだねぇ」
なら、寄ってくんな清楚系ビッチが
「そう?」
「うん、一匹狼感がすごいよ!
もしかしてみーちゃんも新しいクラスになって緊張してるの?」
あぁ、誰か私に少し大きめの鈍器かバールのようなものをよこせ
すぐさまこの脳内花畑な頭をかち割りたい
「緊張なんてしてないし、そもそも人間関係つくるのがめんどいだけだよ」
おっと、内側をみせかけた
「それって、なんか、かっこいいね!」
さっきの鈍器は変更で刃物にしてくれ
一撃で仕留める
「あっ、呼ばれたからいくね?一年間よろしくね!」
こっちから願い下げだよ、クソ野郎
あぁ、どうしてこうもめんどくさいやつらしかいないんだ
遅れたようだが、私の名前は高岡美玲
言っとくが名前負けだ
これといって特徴もなければ、別段お金持ちでもない
ただただ日々を過ごしているだけの女だ
この名前のせいで勝手なイメージがついて
やれクールビューティだの、やれ清楚系お嬢様だのと言われてるが、私自身にとって迷惑はなはだしい話だ
恋愛にも興味はないし、女の友情なんてくそくらえ
私は1人であってひとりぼっちではない
とゆうよりも自ら1人を選んでるのだ
誰かの人生に関わるなんてことほど、面倒なことはない
それについては身に沁みてわかっている
そんなことを考えてるうちに授業がはじまる
といっても今日は、クラス替えしたってところで新しい担任の紹介と自分たちの自己紹介くらいでおわる
始業式はその次の日に行われるため、今日は1・2限で下校ってところだ
新しい担任は今年からこの学校にきたらしく、みんなの雰囲気を掴むのに必死だ
そんな中自己紹介がはじまる
正直どうでもいい
一人でいたい私にとってはこんな時間苦痛でしかない
ただ私のような考えの人間はそうそういないもので、みんな新クラスでの自分の第一印象を良いものにしようと躍起になっている
部活アピールするもの、自分の面白さや趣味を披露するもの
千差万別、十人十色
各々が自分なりに良い印象をもってもらうために工夫を凝らす
「次、高岡美玲さん!」
「あっ、はい」
自分の番が来て、立ち上がると様々な声が飛び交う
「うわぁ、すげぇ美人!」
「みーちゃん、かわいい!」
「どこかのお嬢様って感じよねぇ」
「俺あの子タイプかも…」
うるせぇよ
人が立ち上がったくらいで騒ぐなよ
多少の苛立ちと腹立たしさを抑えつつも黒板の前に立つ
「高岡美玲、人間で女です、以上」
クラスが静まり返る
これでいい、これさえわかってもらえればそれでいい
「えっ、、えっとぉ、高岡さん?何か他に言いたいことはある??趣味とか特技とか、、、」
「ありません、先程も言った通り、人間で女であること以外知ってほしいことはありません」
当たり前だろ
世の中にはこんなことすらわからんやつもいる
さすがにそんなやつはこのクラスにはいるとは思えない
しかし、それで十分
それ以外に知ってほしいことなどない
「わかったわ…、じゃあ次、、、」
席に戻ると、先程までとは打って変わって様々な眼差しや言葉が自分に向けられる
こんなの本当にどうでもいい
生産性のかけらも無ければ、なんの価値もない
とりあえず、金を稼げればそれでいい
私自身お金をかせぐのが好きだ
銭ゲバ?守銭奴?どうとでもいえ
金は天下の回りものなら、少しくらい私のところで留めてもいいじゃないか
特段我が家が貧しい訳ではないし、ごくごく一般的な家庭であるとは思う
ただ、皆んなにも一つくらいやりはじめると止まらないことくらいあるでしょ?
それが私にとっては金稼ぎだったってこと
そんなことをつらつら考えながら、今日だけ早い終礼のチャイムとその後の神聖な行為である金稼ぎについて思いを馳せていた。
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