第4話 鉄壁の守り
「アンタ、平民なんだってな? どうやってあんなお偉い貴族様を仲間に引き入れたんだ?」
ファビオとオルランドが戻ってこないことをいいことに、近くのテーブルにいた酔っ払いの冒険者が俺の隣に座ってきた。
「いえ、俺は、仲間というか……」
「そうか、アンタは
酔っ払いの手が、俺の尻に伸びる。
「やめろ!」
俺は、させまいとその手を掴んだ。
「んだよ、もったいぶるなよ。……どうせあのお坊ちゃまたちに掘られまくってんだろ?」
酔っ払いはニヤニヤ笑うと、俺の顔に酒臭い息を吹きかけた。
「あいつらアッチの方も強そうだから、毎晩だとアンタも大変だよなあ。今日もこれから、しっぽりお楽しみってか? なあ、アイツらがいないうちに、俺もいっぺんくらい相手してくれよ」
酔っぱらいの冒険者は俺の腕を掴むと、力任せに俺を抱き寄せようとした。
だが……、
「うあああああああっ!!!」
目の前の冒険者が絶叫する。
その姿は赤い魔力に包まれていた。
『ったく、アンタね! 自分の身くらい自分で守れないの? こんな小汚いオッサン、隣に座ってきた時点でさっさと殴り飛ばしなさいよっ! こんなことで私の手を煩わせないで頂戴っ! アンタが他の男に触られでもしたら、こっちまでとばっちりが来るって何度言ったらわかるわけ? ああもうっ、ほんと苛つくんだからぁーっ!』
魔剣『イラーリア』はその苛立ちをぶつけるかのように、酔っぱらいの冒険者に電流を流し続ける。
「ぎゃあああああ!!!!」
「あの、イラーリア、さん、もう、大丈夫、なので!」
『あー、ムカつくムカつく、ムカつくぅー!! なんでアンタみたいなパッとしない子に、我が主ファビオ様がっ……!』
「あの、イラーリアさんっ? これ以上やると、死んじゃうんでっ!」
「誰が死んじゃうって?」
「私達のいない間に、一体何があったのかな、ティト?」
「ヒィっ……!」
いつの間にか戻ってきていたファビオとオルランドが、なぜか二人揃って笑顔でこちらを見ている。
「この男は誰だ?」
「説明して、ティト」
「あの……、それは……、つまり」
おろおろする俺。周りのひそひそ声が耳に入った。
「あの男、知らなかったのかよ? あの子に手を出したらヤバいことになるっていうの……」
「昨日このダンジョンに来たばっかりらしいぜ。馬鹿なやつだよなー。もうダンジョン攻略どころじゃないだろうな」
「あの子の魔剣マジでやべーよな。あれに睨まれたら一巻の終わりだぜ」
「馬鹿だね。魔剣だけじゃないでしょ。アンタにはあの子のまわりの闇のオーラが見えないの? あれは並の魔法使いじゃ怖くて近寄れないね。クワバラクワバラ」
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