剣士アヤ

 突如サヴィーニ伯爵に港街を襲われ、街に残っていたアルマとマナと幼竜バルアはクレメンテの娘リータと護衛の騎士と共に街を脱出し中立の領主であるシアーノ伯爵の元に向かっていたがサヴィーニ伯爵の差し向けた追手に追いつかれ道中の森林へと逃げ込んだ。

 

 「クソッ!!あと少しでシアーノ伯爵の領内なのに!!」


 「すぐ後ろにサヴィーニ伯爵の兵が来てます!隊長!」


 「リータ様!アルマ殿!マナ殿、我らが囮となり時間を稼ぎます!案内約を一人同行させますゆえにどうかシアーノ伯爵の元へと!」


 「分かった!リータの事は守るよ!」


 「ごめんなさい、皆さん。」


 護衛の騎士達はその場に残り、案内役とアルマ達はシアーノ伯爵の元へと馬を走らせる。暫く馬を走らせると森林から草原が前方に迫っていた。


 「皆様!もうすぐシアーノ伯爵の領内です!」


 アルマ達が案内役の騎士の一言に安心しかけたとき騎士の頭部に矢が突き刺さった、頭を射抜かれた騎士は絶命して馬から落ちる。続けて放たれた矢がリータの乗る馬の胴を射抜くと馬は倒れ、リータは転げ落ちた。落ちたリータの元にサヴィーニ伯爵の兵士達が来てリータを取り押さえた。


 「リータ!」


 「おっと!抵抗するとこの娘は死ぬぜ?そこのお嬢さん達も馬からおりな!」


 「ッ」


 「分かりました。」


 アルマとマナはサヴィーニ伯爵の兵士達に従って馬を降りると兵士達はアルマ剣を奪い二人を拘束した。


 「よく見るとこの二人、上玉だな。」


 「へへっ!ちと楽しまさせて貰おうか!!」


 「いいね、この銀髪の女は俺が貰った!」


 「こっちの娘は俺に、、、」


 「二人に手を出すな!!」

 

 「こっちの娘は生意気な娘だぜ!!」  

 

アルマの一言を聞いたサヴィーニ伯爵の兵士の一人はアルマの頬を強く叩くとリータに言った。


 「股を開きな。」


 「ッ!?」


 「早くしろ!!」


 「待って!私が相手をします。」


 「駄目ッ!マナ!」


 「生意気な小娘は黙ってろ!!」


 再び兵士の一人がアルマを叩くと別の兵士がマナの近くにやって来て拘束を解き自分の相手をする様に服を脱ぐように迫ると。マナは黙って服を脱ごうとした。男がマナに近寄ろうとした瞬間、姿を隠していたバルアが男の顔に向けて火を吐く

 

 「ギャアア!!」


 「何だ!?こいつ!」



 バルアに気を取られた兵士達は後方にいた仲間の兵士の叫び声を聞いた


 その場にいた者達が叫び声のする方へと視線を向けると首をはねられた兵士の死体と胴体切られた兵士の死体、そして見たことのない異国の服を纏い怪しく美しい刀剣を手にした黒髪の少女が立っていた。黒髪の少女は目にもとまらぬ動きで次々にその刀剣サヴィーニ伯爵の兵士を切り伏せて行く。十数名ほどいた兵士達はたった一人の少女に切り伏せられていった。その様子を見たマナを抱こうとした兵士はマナを人質にしようとして少女に武器を捨てる様に言うが兵士の後ろから星形の鋭利な刃者が兵士の手に突き刺さり次の瞬間兵士は黒髪の少女に首を跳ねられた。絶命した兵士の後ろから異国の黒装束に身を包んだ男が黒髪の少女に声をかけた。


 「お嬢様」


 「助かったわ。ありがとう、シデン」


 シデンと呼ばれた黒装束の男はマナ達を見て言った。


 「いえ、この者達は以下が致しましょう?」


 「シアーノ伯爵の元へ連れていく。拘束を解いてあげてシデン。」


 「かしこまりました。」


 シデンと呼ばれた男はアルマとリータの拘束をを解くとマナ達三人とバルアは黒髪の少女とシデンにお礼を言った。


 「ありがとう。私はアルマ!こっちの司祭はマナ、この子は港街の領主の娘リータ。そしてこの小さなドラゴンはバルア。貴方は?」


 「私はアヤ、アヤ・イスルギ。こっちは従者のシデン。」


 アヤに紹介されたシデンはマナ達に頭を下げた。

 

 「まだ追手が来るかも知れません。皆様、シアーノ伯爵の元へご案内いたしますゆえ急ぎこの場から離れましょう。」


 アヤとシデンに助けられたマナ達はその場を後にシアーノ伯爵のもとへと向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る