第9話 とある銀行員の供述
銀行員を長くしていると、本当にお金がただの紙切れにしか見えなくなるんです。何百万、何千万と積み重ねられた紙幣に対して、なんの感情の昂りもありません。お金をお金と認識できなくなるんです。だからかな、宝くじで1等賞金が当たっても喜べなかったのは。
その当選金を狙った強盗が自宅に押し入りました。
「命が惜しくば、金をすべてよこせ!」
そう脅されたので、「どうぞ、すべて持っていってください」と当選金を強盗の足元にばら撒きました。
「怪しいな。……そうか、偽札だな。この金が本物だと言うのなら、燃やしてみろ!」
私は強盗の言う通りにしました。
ええ、そりゃ勿論、よく燃えますよ。だってただの紙切れだもの。
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