第4話 分岐点

 生きるも死ぬも、みな、孤独ってね。

 1437年5月19日。「中興の英主」として知られた後花園天皇と戦った「鬼」の俺は、いつまで経っても上がらない開戦の狼煙のろしに痺れを切らして、先に攻撃を仕掛けたんだ。

 だからかな。この日は先負。先に動いたほうが、負け。あの日あの時じっと開戦の合図を待っていれば、今頃俺の子孫の「鬼」が、この国を支配していたに違いない。

 俺が一人で戦い、一人で死んでいった日を、どうかお前さんだけでも覚えていてくれ。

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