お嬢様はよくそうやって捨てられている動物を拾って自分のお家につれてきて新しい家族として迎え入れてくれた。

 みかんも、めろんもりんごもれもんも、みんなお嬢様に拾われて、この大きなお屋敷にやってきて、メイドとして働くことになったのだった。

 みかんという名前もめもんもりんごもれもんもみんなお嬢様がつけてくれたとても大切なお名前だった。(最初は自分の捨てられていた大きな段ボール箱にみかんの絵がかいてあったから、みかんという名前をつけてくれたのだとみかんは思っていたのだけど、みんなの名前を聞いてみると、どうやらお嬢様は果物からみんなの名前をつけているようだった。もちろん、段ボール箱にかかれていたみかんの絵が私の名前の由来になったことは、その通りだと思うけど。お嬢様もそう言っていたし)

 お嬢様はとても優しい人だった。

 だから、みんなお嬢様のことが大好きだった。

 もちろん、みかんもお嬢様のことが大好きだった。

 みかんは一度捨てられてしまってから、人間のことが少し怖くなってしまった。大好きなお嬢様は大丈夫なのだけど、お嬢様じゃない人間の姿をみると、今でもぶるぶると震えてしまうのだった。そんな自分の震えをいつかは克服したいとみかんは思っていた。

 お嬢様大好き。

 そんなことを思いながらみかんはすやすやと眠っていた。

 その次の日の朝。みかんは寝坊をしてしまった。

 時計をみて、しっぽをさかなでるようにして飛び起きたみかんはすぐにメイド服にお着替えをして、慌てて食堂までなるべく早歩きで(走ると怒られる)いった。

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