第4話 暗殺者として

 警察に「勝手なことをしないでください」と怒られた後、ゼロは銀髪の少女とRAVENレイブン本部に戻ることに。

「あの、結局あなたはなんなんですか?」

「ああ...ごめん、言ってなかったね。私は、RAVENのレナ。」

「レナさんですね。改めて、助けてくれてありがとうございます!」

 見た目からして、同い年ぽいし、きっと同期だよな。なんというか、恥ずかしい所を見られた...

 そう思いながらレナに話を聞く。ゼロ自体、人と話すのが好きなのだが、学校では能力を持たないのが周知の事実だった為、吹雪やレク以外に話し相手がほとんどいなかった。

 だが、今は違う。ゼロのことを全く知らない人の方が圧倒的に多いのだから。

「レナさんは、どうしてRAVENに?」

「お、親がそういう仕事してたから...」

「親もRAVENに?」

「ううん。でも、そういう家系でさ。お姉ちゃんが、RAVENに入るって、言ったから...私も入った。」

 そんな気軽に入れるのか...相当強いんだろうな。

 そんなことを考えていたら、RAVENに到着した。レナはしばらくスーツを来た女の人達と話した後、ゼロの方へ戻ってきた。

「一応、さっきのことは話したから。」

「ありがとうございます。では、僕はここで..」

「待って!」

 寮に行こうとすると、レナが手を引っ張ってくる。

「ゼロ、その...」

「あ、ゼロ!探したんだからねぇ?」

 レナが何か言おうとした時、後ろから吹雪の声が聞こえた。

「お、吹雪。いや〜、想像以上に面倒なことになっちゃって。」

「武器もないし、死んだのかと思ったよ。」

 ゼロと吹雪が仲良く談笑をする。

その光景を見たレナは、しばらくの間目を見開いた。その後、掴んだゼロの手を離し走り去って行った。

「・・・誰?」

「戦ってた時に助けてくれた人。用事でもあったのかな?」


 恋人さん...だよね。あんなに仲良さそうにしてたし。

気が付くと、瞳から涙が零れ、体が何かに押さえつけられたかのように重くなっていた。

「レナ、どうしたの?」

 会議室の前に腰を下ろしていると、心配そうに囁く声が耳に入る。

「お、お姉ちゃん...」

「そんなに泣いてたら、かわいい顔が台無しだよ。」

 優しく頭を撫でる手は温かく、心が落ち着く。だが、心に空いた穴が塞がるような気はしなかった。

 立ち上がって、姉の肩に顔を埋める。

すると、姉はゆっくりと背中に手を回して、抱きしめてくれた。

「お姉ちゃん...私、暗殺者失格だよ....」

「別に恋をするのも泣くのも、暗殺者としての格を下げるものでは無いと思うよ。」

 顔を上げて姉の顔を見ると、優しく微笑んでくれた。そのおかげで少し体が軽くなった気がする。

 その時、横から声が聞こえた。

「良い感じのところすまないけど、二人に任務を頼みたい。」

「ああ、そう。珍しいわね、ボスから直接だなんて。」

「重要な任務だからね。」

 そういうとボスは、二人に資料を渡した。

その資料には、何人もの名前と特徴そして能力が書かれていた。

「それは、暗殺組織HAWKホークに所属している奴らの情報をまとめたものだ。流石に全員の情報は集めれなかったが、最大限の情報網を利用した。」

「で、私に何をしろと?」

「レナとレノには、HAWKの幹部の暗殺を頼みたい。三人いるうちの二人を頼んでもいいか?」

「このホウオウとかいう奴以外なら、いけると思うわよ。」

「私も。」

「なら、決定だな。」



ー翌日ー

 ゼロは今日も任務を受けようと、気合を入れていたが、吹雪はそうではなかった。

「連日で行くなんてどうかしてるよ!」

「別にいいだろ!」

「私たちが今日一日サボろうと、世界は変わらず平和ですぅ!」

 そんなことを寮の広場で話していると、隣に黒スーツの男性が腰をかけて話しかけてくる。

「初めまして。」

 二人はしばらく顔を見合わせた後、小さな声で言葉を返した。

「・・・初めまして」

「そんなに怯えなくていい。僕の名前はクロー。RAVENのボスだ。」

「え...」

 その言葉を聞いてゼロ達のみならず、近くにいた他の者たちもクローの方を見た。

RAVENのボス。それは新人からしたら言葉のみの存在である。

 それはクローはスパイや裏切りを考慮して、自身の名前や姿を信頼できる者にしか見せないからだ。

「えっと、どうして、私たちに?」

「個人的な挨拶。それと...君たちに頼みたい任務がある。」

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