最終話 ひみつきちへの応援コメント
あぁ……。とても良い読み物でした。
以前、天川さんは私の書いた物語のコメント欄に『地の文が少ない会話文主体のものが苦手だった』(私の会話文主体の小説を褒めて下さいました)と書いていらっしゃいましたが、私は逆にこの作品を拝読して「会話文がこれだけ少なくて、固く重い文体なのにスルスルと読みやすいなんてスゲー!」と思いました。
そして、これはサイコパスというワードを私の近況ノートで見てから読んだが故の感想だと思うのですが。
夏子は結婚生活中は避妊薬をずっと飲み続けていたんですね?子供を授からないように、と。
なるほど、文中で明言はされていませんが、そうであるのが自然ですね。物語の構成としても、軽くしか触れられていない【薬】という伏線も。母親の幸せを確信するまでは【子は枷になる】と覚悟し、自らの身体を犠牲にするその精神性は確かにサイコパスで善人でありましょう。
そこに一切気づいていない主人公、読者の中にはそれに気づく者もいるという仕掛けは趣き深い妙味です。
いやはや。二十代前半の主人公の、田舎の選挙への視線に見られる心情描写が、聡明且つ家族からの愛情深い教育の賜物である事を匂わせている点等を読者に読み取らせる過不足のない筆致、見事です。
さあて、この傑作に私はどんなレビューが書けるでしょう? ムムム。かなり難題です。
でも、書きたいな。
変なモノになってしまったらごめんなさい。先に謝っておきます。
作者からの返信
最後もでお読みいただきましてありがとうございます。
結構ヘビーな内容でもあったため、最後までお読みいただけるかどうか不安もあったのですが、乾燥できる作品であったことにまずはホッとしております。改めて感謝申し上げます✨️
私は、会話文が下手なもので、というか……会話主体で物語を作ると意図とは違う解釈をされる可能性も出てしまうもので。(自分が会話下手なのがもろに出てしまうのでしょうかね💦)
そんななかで、地の文主体で読みやすいと言ってもらえたことは非常に自信になりました。
実は、お薬に関する解釈は私自身、ハッとさせられました、こういう解釈もできるなぁ……と。というか、きっかけがサイコパス的人物というものでしたので、そこが過剰に働いてしまいミスリードになったのかもしれませんね💦 申し訳ありません。実は、この薬は引っ越した後から飲み始めたもので、結婚中は飲んでいませんでした(という設定でした)。理由は、母美春さんの事件の教訓と云うか、女二人だけの所帯で再び「まちがい」があってはいけないということと、物語の舞台が10年ほど前を想定しておりましたので、離婚間もない時点で万一妊娠してしまうと以前の夫の子供と認知されてしまう恐れがあったからでした。あとは、玲弥とそうなるなら、薬の効いた身体ではなくちゃんと向き合いたいという思いもあったのかもしれません。ただし、これは私の解釈でして……特にそこは作中では明記していない部分でしたのでそちらの解釈も充分あり得るな、と思った次第なのです。おそらく、他の読者も……特に男性読者でしたら💦ちょっと品のない話ですが💦 薬飲んでるなら却って都合がいいじゃないか? という考えも十分あると思いますし、むしろそっちを想像する読者がいるかも知れないという想定はしておりました。
その為、僭越ながらハヤシダノリカズ様の解釈というのは間違いと受け取らないでいただきたいのです(間違いだとしてしまうと私の作品が不備ということにもなりますのでw)。夏子の内面をより深く読み解くなら、その選択肢も十分あるのかもしれない、と私自身思ったのです。この物語は、解釈に正解を作らない、という目的もありましたので、こういう読み解きも可能だという事の提示は、私自身が自作を信用しきれていなかったということの証左でもありますw 改めて、自信を持っていい作品なのかもしれないという励ましをいただいた気持ちでした。
田舎の描写は、それこそ実体験に基づくものですのでリアルさに関しては自身がありました。しかし、物語として表現する際に「リアルとリアリティは違うぞ」という先達の言葉も念頭にありました。
とある映画監督が、ヤクザ映画を撮るにあたって実際にヤクザの親分さんの取材をしたそうですが、その時実際その親分さんが猫を抱いて話していたそうで……w 実際そうならそれがリアルということなのでしょうけれど、そこまで実際に合わせるとなんか違う、漫画みたいな嘘くささが出てしまう、ということにもなりかねないということがあります。
その辺の匙加減は、非常に難しかったです。田端がこんなにいい人で良いんだろうか、という点でもw
いろいろ曰くはある物語ではございますが、最後までお読みいただけたということが何よりの歓でございます。本当にありがとうございました✨️
レビューがいただけるのでしたら、ぜひ、ご納得の行く形でご記入下さい✨️
第4話 おかえりへの応援コメント
都会の苦しみが乾きに喘ぐものだとしたら、田舎の苦しみは窒息しそうな湿り気なのかもな、なんて事をここまでで思いました。
そして、内容に合った重く固い文体なのに、どうしてこう、読みやすいのでしょう。素晴らしいです。
出勤前に拝読しておりました。また、後ほど続きを読ませて頂きます。
レミオロメンのWonderful&Beautifulが、この作品のおかげで思い出されましたので、口ずさみながら現場へ向かいます。
作者からの返信
お読みいただきましてありがとうございます✨️
押し売りのような格好になってしまいまして申し訳ありません💦
長い話ですので、気が向いた時、お時間のあるときにでも読んでいただければ、幸いでございます。
最終話 ひみつきちへの応援コメント
「見る者の気持ちが移ろえば、そこに感じる色もまた違って見えるものなのだろう。」
この言葉が物語を象徴しているようでした。
切り捨てる過去と守る過去があり、その気持ちの整理ができた先に新しい命が生まれて。この人間の営みが美しく感じました。これからの彼らの幸を祈ってやみません。
作者からの返信
お読みいただきましてありがとうございます✨️
純文学の貴公子と名高い柊さまにお読みいただけて光栄です。
そもそもこれは純文学なのか? という疑問はあれど、世に流行りのエンタメと呼ばれる異世界転生やラブコメ、悪役令嬢などとは距離を置いた作品を、結果的にではありますが多く書くことになった私です。元は、私も流行りものに寄せた作品を書こうと思っていたのですが、兎角、今の作品というのはスピードとわかりやすさ重視で、小説というよりは漫画のプロットのようなものが多いような気がしています。そこに疑問というか、喰い足りなさを感じた時に、やはり小説というものの中心を一度経験してみる必要があるだろうと書き始めたのがきっかけでした。
結果、思いの外自分に合っていたような気がします。
自分のフィールドはここだと。
まだまだエンタメ色が抜けない作風ではありますが、読みやすさというのも同時に備えていきたいと思っておりますので、しばらくはこの作風を続けてみようと思っております。
読みにくかったのではないかという心配もあった作品ですが、幸いにして(私にとってはw)多くの完走者を得ることが出来ております。
まずは読んでもらえるものを、そう思いながらの手探りでの執筆ですので、どうか温かい目で見守っていただければ幸いです。
この度は、完走ありがとうございました✨️
最終話 ひみつきちへの応援コメント
いつか続編を。
自分がお話をしましたコメントも、ほんの少しはこちらのご著作のよすがになっておりましたら、たいへんに光栄でございます。
拝読できてよかったです。
お帰りなさい。そうお伝えしたい気持ちであります。
作者からの返信
最後までありがとうございました✨
短編の時に構想自体はあったのですが、8000文字に押し込むのはやはり無理があり💦 結局母親の美春さんは一度も出てこないまま終わるという有り様だったのですが。
今回は、構想にあったほぼ全ての要素を盛り込むことが出来ました。
結果、内容は膨らんだのですが読みやすいものに出来ていたかというと、全然そんなことはなく💦 夏子と玲弥に対する共感が薄れてしまう結果になったかもしれないという懸念もありました。
ですが、今回は敢えて人物ではなく物語を中心にして組み立てることにしました。田舎の因習と、『悪人不在の結論』という難しいテーマに挑んだ作品でもあり、その辺りがどう伝わったか……興味のあるところでもありました。
企画へのご協力もありがとうございます✨
最終話 ひみつきちへの応援コメント
家族という形、村という形、結婚という形、親子という形、隣人という形、そして幼馴染という形、形というものが変貌という名で形骸化する現代において、個という存在の頼りなさを感じました。
人は知識が増える事で道を幾つも見つけられますが迷い続ける構造があり、逆に凡庸であるがゆえに答えを愚直に追え辿り着ける事もあります。因習がルール化した反動でより内面に向かう個は、自由でありまた寂しいものです。
拠り所を見失った個に対し孤独を肯定する時代に対し、帰るべき場所の提示の様な「優しさ」を本作に見出しました。
面白かったです、勉強になりました。ありがとうございます( ;∀;)
作者からの返信
完走ありがとうございます✨
人間をリアルに描き出すと、必ず裏と影が出てしまいます。いつもならそれを上手に?隠すように書くのですが、今作では敢えてそこをさらけ出すように書くことを挑戦しました。
感動は得られても感情移入は出来ない、といういささか妙な着地点を目指したものでもあります。けっか、狙いどおりに?読む人によってあらゆる感想が生まれる作品になれたような気がします。エンタメ要素を極力除いて、リアルな人間を描き出したとき、そこに感じるのは、読者自身の感情と都合が色濃く反映されるものだと思います。
そして、残念ながら作者である私自身を投影した夏子や玲弥は共感が得られず生き辛い(つまり天川は生きづらいことが決定付けられたw)ということですw
この社会はそういうものなんですよね。
その中でも、最後まで物語にお付き合いいただけたと云うのはありがたいですし自信にもなりました。
今後も、この方向性を忘れずに書いていきたいと思っております✨
最後までありがとうございました✨
編集済
最終話 ひみつきちへの応援コメント
拝読いたしました。
子供の頃から引越が多く、明確な故郷というものがない私にとっては、田舎暮らしも幼少時の通過点に過ぎないのですが、小さな村の独特な空気感というのは覚えています。
冒頭の秘密基地や松脂、カサブランカ、二人でお酒を呑むシーンの描写が素敵でした。
申し訳ないのですが、作品を通じて夏子さん始め登場人物達の行動や感情を理解することはできても、本当の意味で共感することはできませんでした。
女性として生を受けた身で、人々の根底に流れる処女性や母性に対する一種の信仰のようなものに疑問を抱いたことは一度や二度ではありません。
土地に根を張り暮らす人々の輪郭を描き出すように丁寧に書かれた作品であると思うし、人と人との相互理解というのは現実でも難しいので、共感はできなくて良いと思っています。
今まで少なからず純文学を読んできましたが、そこに描かれた主人公達に共感できたことはあまりありません。笑
そしてカクヨムを含む小説投稿サイトは自分の価値観とは違う作品に出会える場であり、そこが素晴らしいと思うのです。
読ませていただきありがとうございました。
【追記】
感情移入と共感の意味を混同しておりました。
共感は相手の感情を理解し深く考え寄り添うこと。
感情移入は自分の感情を相手の立場に置き換えて想像すること。
つまり、共感は出来ても感情移入はできなかった、ということですね。
アーザル・ナフィーシーの『テヘランでロリータを読む』に「いい小説とは人間の複雑さを明らかにし、すべての作中人物が発言できる自由をつくりだすもの」とあります。
天川様の作品は人間の複雑さを描き出した素晴らしいものだと思います。
作者からの返信
最後までお読みいただきましてありがとうございます✨
あちこちで共感について聞きまくっているので大体察していただけると思うんですけど、私自身が、かなりの共感重視型なので💦 正直、この作品を自分以外の人が書いたのだとしたら最後まで読めない自信がありますw
それくらい、人物に依存した読み方しか出来ない人間なんです💦
そんな中、人物に阿なくとも物語で読ませることが出来るか? という挑戦でもありました。
共感を得られないことは最初から覚悟しておりましたので、むしろ共感無しでも読んで貰えるものになっていたことの方が嬉しいです✨
そんな中で100人に一人くらい強烈に刺さる人がいてくれれば御の字だと思っております。
個人的には、田端には申し訳なかった、という感じですw
読みにくい作品だったとは思いますが最後までありがとうございました✨
第2話 夏がまた始まるへの応援コメント
松脂っていいですよね。
好きな薫りです。
作者からの返信
私にとっては、あの香りが夏の匂いです。火を焚かない夏は夏ではないのですw
お読みいただきましてありがとうございます✨
第5話 父の愛したカサブランカへの応援コメント
ああ、とてもいい回でした。想いが生きている、それが大事な事だと思いました( ;∀;)
作者からの返信
お読みいただきましてありがとうございます✨
二人とも、辛いことがあってここを引っ越した。でも、本心では家を離れたくなかったんですよね。
二人がいつ帰ってきても良いように、玲弥たちは家と花を守っていました。
これから、二つの家族がまたひとつになっていく道筋が現れます。
第13話 消せない記憶への応援コメント
別れた夫が、いい人そうでよかったです。
(「僕」は複雑でしょうが。)
作者からの返信
自分で書いておきながら、現実にこんな事があるんだろうか?
という不安と疑問もありました💦
別れるくらいだから、なにかしら瑕疵というか欠点がありそうなものですけど……。
この田端という男が、この物語のワイルドカードです。
第12話 灯台への応援コメント
わたしも、いろいろなことがあるけれど、物事を肯定的に見たいと考えています。
置かれた状況の中で、ちゃんと立って、楽しみを見つけて生きていきたいです。
作者からの返信
フランクルの言った言葉の中で特に印象的だったのは
やはり、
『人生に意味を問うのは止めなさい、
人間は人生から意味を問われている立場なのだから』
ということでしょうか。
どんな状況でも、人生があなたに絶望することはない。
あなたは、人生から待たれている立場なのです。
それを、思い描くのです。
下手をすると、現状の社会はそれ自体が収容所のようなものなのかもしれません。
それでも、人生にYESと言えるのか。
わたしも人生をかけて挑んでみたいと思っております。
第10話 親の役割、家族の役目への応援コメント
お父さんの言葉の一つ一つが、胸に沁みます。
自活力、大事です!
(親目線)
作者からの返信
ちょっと出来すぎと云うか、芯が強すぎる人間にしてしまいましたけど、これが理想の父親像というものを私の中で作り上げ、それを玲弥の父親に担ってもらいました。
会社でも家庭でもそうですけど、
「俺のお陰で──」云々いう人がいたとして、事実そうなら大問題だと思うんですよね。本人は立派な人間だと思ってるかもしれませんが、何かあったときに路頭に迷うのは他の人間たちなわけで。
正直、リスクでしか無いと思うんです。
それをちゃんと理解できている男って、あんまりいないような気がします。褒められることが最優先で、後のことを考えていないと云うか……。
だからこそ、それを全うできなかった敏弥くん……
このセリフは、本当に自然と出てきました。
想像するに、無念であっただろうと思います。
第1話 記憶の奥の眩しい夏への応援コメント
秘密基地とロボットを、毎年夏休みに作っていたことを思い出しました。
うちは、兄弟で作っておりましたが(笑)。
作者からの返信
夏休みに自由研究とか工作とは関係なく、妙な大作に取り組むというのはあるあるですねw
そう言う記憶が、誰しも一つくらいはあってほしいという願いも込めて……彼らには秘密基地を作ってもらいましたw
お読みいただいてありがとうございます✨️
なかなか、読みづらい作品だとは思いますが、何処か一つでも心に響く所があれば幸いです。
第1話 記憶の奥の眩しい夏への応援コメント
田舎の風習を家屋の造りに仮託して、そのまま秘密基地の設営に移る巧みな導入。
自然と田舎の夏休みの風景が想起させます。
夏子ちゃんが二つ年下の僕と、どんな想いで秘密基地づくりをしていたのかは興味深いところです。
そしてあの夏の事件へと誘われます。
作者からの返信
お読みいただきましてありがとうございます✨️
なかなか内容がハードな部分もあり、最後まで読んでいただけるか恐々としておりますが、どうぞ読める範囲で応援よろしくお願いいたします。
編集済
最終話 ひみつきちへの応援コメント
拝読いたしました。
「ムラ」の生々しさ、悪しき風習も、それを包括して尚、離れがたき良さもしみじみと伝わりました。祖父母と父が魅力的ですね。特に祖父の正義感の強さと情の厚さ、ホロリときました。
カサブランカ 、私も大好きでして庭で育てた事がありますが、あの橙色のは厄介ですよね。夏子の父が大切に育てたカサブランカが犯人逮捕の決め手となったのは、心に残る場面でした。
そして、優しさ。近況ノートを拝読しましたが、ここですね。夏子の優しさが顕著な文は、
田端の両親ともちゃんと家族になりたかったんだ。
自分が家族の一員として貢献できる部分を何一つ持てずにいたのだろう。
ここだと思いました。自分の母親を背負っての結婚だからこそ、配偶者の両親をも同じように大切にしたい。それがひいては配偶者を真に愛する事でもあるという。
私、分かりますよ。本家ではなく、都会暮らし(核家族)ですが、まさに私はこの条件を満たす結婚をし、「いい人」になろうとし、途中でキレたりしながら、今や両家に君臨しております(笑)。
優しさって難しいですよね。自己犠牲になりやすかったり、玲弥のように気の弱さと紙一重でもある。ただ、芯のある優しさというのは魅力です。エゴと我儘が夏子さんを義両親から守ったのかもしれません。田端には幸せになってもらいたいですが。
私、他の作家さんのコメント欄で、天川さんの「優しさ」についての体験を何度か拝見し、共感していました。私は幸い?にして気の強さで利用する人々を斬りつけていましたが、疲弊する事が多かったです。今後もこのテーマで作品を書かれたら、ぜひ読ませてください。
作者からの返信
まずは、完走ありがとうございました✨️
非常に読みにくい内容だったのではないかと、恐々としながら世に送り出した作品ですが、思いがけず完走者を得てほっとしております。
ありがたいことに、ほぼ作中唯一と言っていいw夏子への共感を呼ぶ部分を見つけていただけたこと非常に嬉しく思います。
あちこちで書いておりますので中略いたしますが、
この作品は「優しさ」というものをどの角度で捉えるかというテーマで書きました。おそらく、共感できる部分があるならそれぞれの読者によって全く違う部分になるであろうと思います。
今作、短編のときは夏子とお母さん(当時はまだ名前すら無かった)に共感してもらえるような作りに留めておいたのですが、村の内情を詳細に書き、その上で村に住むと云う部分も肯定的に受け取ってもらえる余地を残すとするならば……どのような構造、表現にするべきか、非常に悩んだ部分でもあります。
結果、夏子はわがままが目立つようになり、玲弥は空気に近くなるという……これ、どうなんだろうな……? という仕上がりになってしまったのは否めません💦
一番の仕掛けとしては、やはり田端でしょうかね。
どの人物にも裏と表を感じてもらえるように、田端に関しては思いっきり「いい人」として描きました。これが、普通の夫であるなら結局「別れた夫が悪いんじゃない?」という安易な解釈にとどまってしまう恐れがあったからです。
この作品のきっかけとなったのが、実は
『宅配便。』/オレンジ11さま
https://kakuyomu.jp/works/16818093075524929156
という作品でして、こちらの作品には非常に粘着質なコメントを残してしまいました💦 天川賞でも初代「ひとひら」に選び、あまつさえ感想文まで上げる始末……
オレンジ11様には、寛大なお言葉をいただけて本当に幸運でした。
(普通はBANですよね……💦)
『読書感想文』/天川
https://kakuyomu.jp/works/16818093075876227643
その後、フィンディルさまの、『宅配便。』への書評を読みまして、
https://kakuyomu.jp/works/16818093074649968518/episodes/16818093077451794590
人間をあるがままに描き出した時、その評価は読むものによって分かれるのが普通。それぞれの価値観で解釈するのだから、6:4なり7:3で。それをわかりやすく伝えてこいつが悪い『10:0』に誘導するのがエンタメというものである──意訳
という解説を読み、いつかは私もこういう作品を……と思いながら書いたのがこの作品になります。
私のものは、兎角語りすぎておりますので、オレンジ11さまのように繊細で読者に委ねる、という領域までは届きませんでしたが、それでも全員が同じ解釈に至らないという目的を果たせたような気がします。
人間は多様です。
だからこそ、色んな人が居て合致する人もいればしない人もいる。その為多様性を受け入れ許容し守っていかなければ、そこからこぼれ落ちる人も出てしまう。現代では、その価値基準が(何によってこうなったのかはわかりませんが……)あまり望ましくない「一本」に集約されてしまっているような気がするのです。
現在では、目に見える多様性の方にばかり注目されていますけれど、本来の多様性とは都会に出る人もいれば田舎で生きる人もいる、という類の暮らしに根ざしたものだったはずなのです。
そして、その中で育まれるものの中には人間が手放してはいけなかったものが含まれていたような気がします。
幸運にも、夏子が共感を得られたというのは作者冥利に尽きます。
なんだかんだで、私はそこを欲してた気もしますしw
長々と、申し訳ありません。
作品をお読みいただきまして本当にありがとうございました✨️
最終話 ひみつきちへの応援コメント
田舎でスローライフがしてぇ!というのが口癖のわたしにとっては、そこに流れる空気、人々の重苦しい息遣い、その優しさと、すべてが衝撃的で素敵な作品でした。
都会だろうと田舎でも、その風景は人が作ったものであり、どこでもしがらみは存在するのだなぁと改めた感じです。それでも、そこで生きることを選んだ二人に、幸多き、穏やかな生活が続くことを願わずにいられない作品でした。
大変に惹きつけられる、素敵な作品でした。(^^)
作者からの返信
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
正直なところ、共感のしづらい作品だったのではないかと覚悟しておりましたので、お書きいただいた内容以外にもきっといろんな感想があると思います。
どこに行っても、いいことも悪いこともある。ならば、慣れ親しんだ地元がいい、というのが田舎に住む大方の意見です。
不便なこともあり、濃密すぎる付き合いに辟易もします。
しかし、周りに人が少ないというのは他では得難い利点でもあり、また自身と深く向き合えるということでもあります。
田舎で生きてみて、人間必要なものというのはそれほど多くないのだということを改めて感じたりもします。
その中で、優しさだけで生きていくことは可能か? という問いに向き合う作品でもありました。
彼ら二人には、優しさだけを持たせて物語の世界へと生み出しました。
きっと生きづらかったと思います。
そんな中、お互いに深く向き合い、そしてそこに人間が生きていたということを、改めて感じさせてくれるのではないでしょうか。
この作品は、本当に読んでもらえるのか怪しい内容でもありましたので、最後まで読んでいただけたというのは、とてもありがたいことでもあります。
お読みいただきまして、本当にありがとうございました✨️
最終話 ひみつきちへの応援コメント
天川様
まさに人間ドラマ。(私の思う)天川様の、真骨頂でした。
過ちと逡巡。特にこの二点について描く、
天川様の筆致に目を奪われるばかりです。
作中で「僕」のお父さんが、「僕」に縁側で話していたような、
人間に対する諦念と、柔らかな許し、それがゆえの未来が、
物語を最後まで温め続けていたから。などと思っています。
「秘密基地」に始まり、「ひみつきち」に終わるという、
粋な仕掛けもまた。天川節ですね。プルタブを開けたくなります。最高です。
このような作品を本企画にお寄せいただきましたこと、感謝申し上げます。
というのは建前で、なかなか最近長編を読めないでいたのですが、
こちらの作品を読んでなんとも清々しく気持ちを新たにすることができました。
改めて、この物語を紡いでくださったこと、感謝申し上げます。
作者からの返信
最近なかなか投稿できず、忘れ去られてしまうのではないかという仄かな恐れと、もう自分には大作は書けないのかな? という大きな恐れが、企画参加のきっかけでもありました。お目汚しにならなかったのなら幸いです。
この、ふるさとというものに対する思いというのは本当に複雑でして、正直リアルタイムで住んでいる身としては嫌になることのほうが多いんですよw💦 ほんとうにね……。
それは、気候や不便さ、というものではなく、作中にもある通り、周辺に住んでいる人間に拠るところが非常に大きいのです。
狭いコミュニティの中で地層のように積み上がった利害関係、それに巻かれなければ生きていけないような息苦しい空気感。
正直、それさえなければ結構住みやすいところでもありまして、災害にも強いですしw
唯一にして最大の障害が、「そこに住む人」というなんとも皮肉な結論にしかならないのが辛いところなのですが、それでも赤の他人に田舎を馬鹿にされると理由もなく腹が立つ、そんな帰属意識もまた事実でして……。
今回の作品では、光と影両方を隠すこと無く描くことを目指しました。結果、人物には共感が難しい作品にもなってしまったような気がしますけど、それでも田舎のリアルを物語に落とし込むことは出来たかと思います。
自分らしく生きること、周りに迷惑をかけずにそれが出来たらどんなに素晴らしいことだろう……。
夏子は、みんなに迷惑をかけてしまいましたが、彼女の周りには彼女を愛する人達がいてくれた。そのことが、作品の救いになっていれば良いのですが。
あと、あちこちで書いてますけど、田端には申し訳ないことをしたw 彼は意識的に「常識人」として描くことを至上命題にしておりました。たぶん、一番共感を呼ぶのが彼でしょうw
田舎を表現するには、現代的感覚の都会人が必要であることも事実です。
幼い頃の秘密基地描写は、書いていてとても楽しかったですね。エンディングでは、その延長線上に続くものとして、二人の愛の巣を繕うシーンが挿入されています。何かを作ることで、人は生きていける。そんな暮らしを夢見て、ご感想への感謝としたいと思います。
お読みいただきまして本当にありがとうございます✨️
また新たな作品でお会いしましょう✨️