第22話

「ま、待って……兄貴はっ?」


「へーきへーき。今日は向こうに泊まってもらったから」



向こうというのは倉庫の事。


…ありがとう兄貴。




「…でもっ、嶺亜疲れてる……でしょ」


「んー」



わざわざこんな所まで来て、無理してるんじゃないかって不安に揺れるあたしの声を聞こえないフリをして、奥へ奥へと進んでいく少し冷たい手。




「ね、もう寝た方が…っ」


「ねえ、英梨ちゃん、ちょっと黙ろっか?」


「…っ…んん、」



いつもの声色よりもずいぶん低く囁かれ、深く呼吸を奪われるともう何も考えられない。

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