第29話


嗜めるような眼差しの頼さんに、ゆるりと、私の口角が上がる。





「私、”今日“は大人しくしますもの。」



「…………美夜。」



「ふふ、」





楽しげに微笑む私に、頼さんは溜め息を吐き出した。




「ほどほどにしなさい、美夜。」



「もちろん。」




満面の笑みで頷く。





「やれやれ、私の奥さんは、仕方のない人だ。」



「そんな私に惚れたのは、貴方だわ。」





身を寄せ、頼さんの温もりに酔いしれた。

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