第5話さあ始めるわよ!この国を‥‥ 中編

「さすがネオね!今日もおいしいわ、ありがとう」


「いえ、お嬢様が喜んでいただけて良かったです。私はお嬢様様の執事なんですから、フッハッハッハッ!」


「ちょっと!最後まで執事の真似してなさいよ!」

 

 ダッダッダッダ!複数の足音と馬車の音が聞こえてきた。そろそろくると思ってたが早めに来たようだ‥殿下が‥‥もう一つの悪が‥


「アリス・ヘンダール辺境伯令嬢はいるか?私はアーサーだ!話しをしようではないか」


「ネオ!殿下をお招き致しましょう!丁重にね」

 

ーーーーーーーーーー


「アーサー殿下今日は何のようですか?私今日は忙しいのですわ」


「なんだ!殿下に対してその口の聞き方は!ここまでわざわざ殿下が足を伸ばしたのだぞ!」

 殿下の側近が騒いでる。たぶん騎士団長の息子だろう。


「大丈夫だ!ジュール、私が急に

来たからアリス令嬢は悪くない!」


「申し訳ありません」

「悪かったね!ジュールを許してやってくれないだろうか?」


「私は気にしてないので早く要件をお願い致しますわ」


「クゥ!」

ジュールは歯を食い縛り何かいいたそうだ。

「単刀直入にいうと私の側室にならないか?もう婚約破棄したんだからいいだろ。側室になったら贅沢をさせてあげるよ!もうそろそろ燐国に侵略戦争を起こそうと軍備を整えてるんだ!なぜか隣国の重鎮達が急に亡くなって、ごたごたしてるんだ!で、今なら余裕で攻め落とせるんだよ。この王国はこの世界の頂点に君臨するんだ!」

 ふ〜ん、私とネオが悪と感じた奴らを殺したけど重鎮達だったんだ。まあ、私には興味ないけど。


「そう、それで側室を断ったらたら私どうなるんですか?」


「フッハッハッハッ!おとなしいと思ってた令嬢がこうも強情な女だったなんて!ハッハッハッ、いいね!俺の手でその顔が絶望に染まる瞬間が見れると思うとゾクゾクするよ。おい!ジュール手荒な真似をしてもよい、馬車に連れこみ王城の貴族牢にぶち込んどけ!あとで俺がかわいがってやるよ!ハッハッハッ」

殿下の態度が変わった。これが殿下の本性なんだろう。私にはわかってたけどね!あくの匂いがプンプンするんだもん。


 ジュールが殿下の許しを得て意気揚々としている。

「わかりました!ヘンダール辺境伯令嬢おとなしくすれば痛い目にあわずに済むぞ!どうする?」


「やれるもんならやってみな!殿下の腰巾着!」

 こいつにも腹が立っていたから挑発をした。


「このやろ〜後悔しても遅いからな〜!」

腰巾着が私目掛けて飛びかかって来た!

 「シャキーン!ボトン、ボトン」

 聖剣を召喚してジュールの両手を切り落とした。


「あ、あ、あれ!?お、俺の手が‥ギャ〜〜!!バタン」

ジュールは余りにもショックで気絶して倒れた。このままだと出血多量で死ぬであろう。まぁ悪だからいいんだけどね。


「そ、その大きな鎌はなんなんだよ!いつのまに出したんだ!?」


「殿下これは聖剣ですよ。悪を滅するためのね!次は殿下の番ですのでサクッと終わらせますね!」


「あ、悪魔だ!悪魔が取り憑いているんだ!近衛兵早くこやつらを殺せ〜!」


「シーーーーーン」

 誰も殿下の所にはこなかった。

 

 ネオが急に現れてマジックバックから何かを取り出し床に落としていった。

「ボトン、ボトン、ボトン、ボトン、ボトン、ボトン、ボトン、ボトン、ボトン、ボトン、ボトン」


「うぅぁああーー!!!」

殿下はそれを見て絶叫した。それは全て近衛兵の頭だったからである。


「悪魔だなんて‥‥私は悪の執行人ですよ真逆です!一応私勇者なんですけどね。さあ、殿下この聖剣で悪が滅せられれば輪廻の輪から外れ生まれ変わることはできないんですよ!悪なんて生まれ変わる必要なんてないですもんね。さよなら殿下。殿下の絶望の顔最高でしたよ」

 シャキーン!聖剣で殿下の首を切り落とした。


ーーーーーーーーーーー


「はぁ〜、私には白馬に乗った王子様はいないのかしら。ねぇ!見つかると思う?」

 私は馬車に乗り王城に向かっている。

「まず無理だろう!アリスより強くて悪魔みたいなアリスを受け入れてくれる奴なんていないな。次の転生があるなら‥‥もしかしたらアリスより強く悪魔ではなく天使のようにかわいがる変わった奴が現れるかもなハッハッハッ!そんな奴いないかハッハッハッ!」


「‥‥きっと現れるわ!だからさっさとこの世界の悪を滅ぼしましょう!ネオ悪いんだけど手伝って!私1人でやりたかったけど、この国は悪が多すぎだわ」


「そうですねお嬢様!かしこまりました。では私も悪を滅してきます。それではお嬢様お先に失礼致します。バサァ!」

 ネオが黒竜になり空高く飛んでいった。

 私がこの国全体に昨日魔法を放ったから大丈夫だろう。昨日の巨大魔法は悪を選別する魔法で悪は黒く光ってるからネオでもすぐ見つけることができる。馬車は魔法で動いているから私1人になってしまった。

「1人だと寂しいわ。早く私も運命の相手を見つけたいわね」

アリスは、まだ見ぬ未来の結婚相手を想像しながら物思いにふけっていた。


ーーーーーーーー


 貴族牢で騒いでいる男がいる。


「おーい!ここから早く出せ!俺は次期公爵になるんだぞ!クソ!何故俺様が牢に入らないといけないのだ!全部アリスのせいだ!アリスが婚約破棄を受け入れるから‥‥次あったら部屋に閉じこめて痛ぶってやる!一生死ぬまで部屋から出してやるものか」

 

 ダンは今だにアリスが自分のことを好きだと思っている。5年前からアリスはダンに対して興味がなくなったように振る舞っていたのはダンに振り向いて欲しいためだと思っていた。


 ダンの歯車は男爵令嬢レイアにあい狂い始めてきた。

 顔と体だけがいいだけの男爵令嬢が婚約破棄の提案をしなければ‥


『ダン様!婚約破棄を卒業パーティーで皆の前ですればアリス様も焦ってダン様に泣きついて婚約破棄の撤回を求めてくるんじゃないかしら?そうすればアリス様はずっとダン様のいいなりになりますわ。だってアリス様はダン様のことが好きなんですから!』


この男爵令嬢はただの体の関係だけだがいいこというな!よし!これでアリスは俺に逆らえなくなるぞ!あいつは婚約破棄されたら俺様と結婚できなくなってしまうからな!焦って俺様に懇願してくるだろう!ハッハッハッ!


『なかなかいい案だな!詳しく聞かせてくれ!今から卒業パーティーが楽しみだ』


 自ら破滅の道に進んでることを知らずに‥‥

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