第8話 コスモスの咲く空編③
「……正体不明だからXって安易すぎじゃない?オレにはジョーカーって名前があるのになー」
「え?じゃあ、名乗ってきたの、ジョーカー?」
今はお茶会が開かれている。
赤と白のバラが見事に咲き誇っている。
「まさか!まだオレたちの情報を出すわけにはいかないからさすがに黙ってたよ!クイーンに怒られたくはないしね」
「リアルに首が飛んじゃうよねー」
「その冗談、笑えないからな、ダイヤ?んー、このイチゴのタルトうまー」
ずらっと並ぶ菓子をジョーカーがつまむ。
「てか、集まり悪いなー。オレとダイヤしかいないじゃん」
「あたしを暇人みたいに言わないでよね、ジョーカー」
「そんなつもりはないって、ダイヤ。ごめんごめん」
「アリスがまた現れたって大騒ぎなのよ。あたしは面倒くさいし、お金にもならないからお茶会に逃げてきたってわけ」
「ははっ。そりゃオレもそうするわ」
「そういえば、クローバーはいた?」
「いたよ。まぁ一言も喋らなかったけどな。頭がいいやつがちらほらいたが、オレの正体がバレなかったってことはクローバーは何も言ってねーんだろうな」
「ま、クローバーらしいわね。花姫は何人集まった?」
「8人だ」
「あと4人、か。なら、揃えられないうちにあたしがちょっと出掛けようかしら」
「お?共闘するか?」
「それも悪くないわね。今、コスモスの絵にいるんだったわね?んー、あそこはちょっと面倒くさいから違う花姫のところがいいわね。プロテアたちは次はどの花姫のところに行くのかしら?」
「たぶんアオバラだな。ルージュを助けに行くだろうから」
「丁度いいわね。バラとはうまく出来てるわ。あの子たちがいるんだもの」
「そういえば、お前、騎士団を捕まえてたな」
「あの子たちに戦ってもらいましょう。ふふ。楽しくなってきたわ」
「じゃあ、とりあえずはお茶会を楽しむか!」
「えぇ。ジョーカー。このクッキーもおいしいわよ?」
「え、食べる食べる!ん、うまーい!」
☆
「……あの鎌は危険だな。あれは致命傷になりかねない」
ルージュは渋い顔でコスモスを見つめている。
「桔梗の回復でギリギリってのはヤバイわね。何か対策を考えないと」
「回復強化なら、アオバラ、かな?」
「……順当に考えたらそうなんだけど、あの子、戦えるのかしら?」
難しそうな顔をしている花姫たちに何があったんです?と大樹が質問をする。
「アオバラはバラの騎士団所属で、ひとり騎士団を離れプロテア様に協力をしてくれていたんです。ですが、花姫の封印のとき騎士団が壊滅したと連絡が入ったんです」
「てことはアオバラは騎士団の生き残り……?」
大樹の言葉に桔梗が頷く。
「だから、彼女を起こす=騎士団の捜索かもしくは復讐になると思うんです。……起こすのは可哀想かな、と」
「いや、桔梗。アオバラは騎士だ。復讐はしないよ」
俺は桔梗に声をかける。
「アオバラに助けてもらったんだ。今度は俺がアオバラを助けてあげたい。騎士団の弔いをするのを手伝ってあげたいと思うんだけど、どうかな?」
「プロテア様がしたいことをすればいいさ。策は私が考える」
クレマチスの言葉に俺はありがとうと返す。
「……コスモスとリハビリを兼ねて散歩をしてきたらどうかな?コスモスを元気づけてやってくれ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます