タンポポ

勝利だギューちゃん

テレビで、アイドルが元気よく歌っている。

笑顔を振りまいている。

華やかな芸能界。

私には無縁の世界だ。

「この子、姉ちゃんに似てない？」

一緒に弟が、ひとりのアイドルを指す。

「そう？」

そこにはショートヘアーの女の子が元気よく踊っていた。

両親が学生の頃は、女性アイドルは個人で活動し、男性アイドルはグループで活動するケースが多かったらしい。

今は、女の子もグループが多く個人は珍しい気がする。

彼女は珍しく個人で行動している。

「姉ちゃんは、アイドルにはならないの？」

「どうして？」

「みかけ〈だけは〉いいから」

次の瞬間、弟をはたいていた。

「だけとはどういう意味よ」

「そういうところだよ」

こういう普通の日常を楽しんでいる。

私の名前は、河合唯

花も恥じらう女子高生。

「姉ちゃん、それ死語だよ」

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