第15話 蟲の巣 3

「神楽、この巣の主を見つけた」


数分して戻ってきた蒼がそう言った


「ありがとうじゃ。祐樹、蒼について行くぞ」

「俺ついていける?」

「......蒼、少し速度を落としてやってくれ」

「わかった、じゃあ行こう」


――――――――――――――――――――


「うわぁ、何あの大きさ......」


蒼が案内してくれたところは体育館ぐらいありそうな大きさの空間だった

そこには5メートルはありそうなものすごく大きい地帝がいた


「あれが巣の主じゃ、あれぐらいの大きさじゃなければ巣はできない、だから主さえ倒せばもう増えることはない」

「つまりあれを倒せば蟲の巣は壊せたってことでいいんだな?」

「そうなるな」

「あれも他の地帝と同じでひっくり返せばいいのか?」

「ひっくり返せるならな」

「.........無理だな、うん」

「外骨格ごと切るか、それか地帝の下に潜り込んで倒すかじゃな」

「あれを切るのは......無理だから潜り込んで斬るか......」

「潰されないようにな」

「切ってすぐに外に出るようにする。......よし、行ってくる」


そう言って地帝に向かって走り出し、地帝の下に滑り込む

そしてそのまま斬りつけて妖炎で燃やし地帝の下から出る


「よし、成功!」


祐樹が地帝の下から出てすぐ地帝が丸くなった


「丸まるの!?.........まぁダンゴムシみたいな時点で予想してたけど、他の地帝は丸くならなかったじゃん......」

「ほかの地帝は丸くなる前に瞬殺していたからの」

「確かにそうだったわ......」

「無理なら僕と神楽で倒しちゃうから言ってね」

「ありがとう、でも多分大丈夫。そもそも倒せそうだし」


俺は力の4割ぐらいを使って真剣を使う

その残りのほとんどを足にまわして地帝に向かう


「おらぁぁ!」


地帝の横まで飛び上がり全力で刀を振る


「よっしゃ!!やっぱり切れた、まだ浅いけどちゃんと切れるね」

「それ致命傷までいかなくない......?」

「......倒せないかな?」

「難しいと思うよ」

「だよね......」

「刀を刺してから全力で燃やせば行けるんじゃないかの」

「そうだな、まぁなんか......地帝って弱そうだから色々試してみる」


そう言って飛び上がり地帝の上に乗り刀を根本まで刺す

そして妖炎を使い全力で燃やし下に戻る


「よし、うまくいっっ――――」


下に戻った直後に地帝が転がってきた

......それもかなり速い速度で


「ちょ、ちょっと、待って待って!?それ転がってくるの!?」


しかもただ転がってるだけじゃなく追ってくるんだけど!?!?


「追ってくる、なっっっ!」


そう言って地帝を蹴る

そうすると予想通り転がっていった


「ちょっと祐樹!?!?こっちに、蹴らないで、ねっっ!」

「ごめん蒼!」


蹴った方向に神楽と蒼がいたみたいだ

......まぁ蒼は蹴り返してきたから心配なさそうだが


「切れろっ!!」


蒼が蹴り返してきて勢いがついた地帝に向かって切り上げるように刀を振るう

するとガッ、という音がしつつ地帝が止まる

しっかり刀も深く刺さっている

そのまま力をかけてさらに切りつける


「弱いのに硬い!!」

「そういう蟲じゃからな......」

「.........神楽か蒼で倒してくれない?」

「......どうしようかの......本当に」

「倒してあげてもいいんじゃない?別に祐樹も戦えてるし」

「まぁ......倒してやってもいいかの。蒼が倒すか?」

「う〜ん、いいよ?」


そう言うと蒼は刀を抜き雷をまとわせる

そして蒼が走り出し刀を振り下ろすとドォォォォォォン!と言う耳が裂けるかと思うぐらい大きな音が鳴りつい耳を塞ぐ

そして地帝の方を見たときには――――


「嘘だろ......そんなに簡単に切れるもんなのか!?」

「まぁ普通はこんなものじゃ、祐樹が弱いだけじゃな」

「辛辣だな......」

「蒼、お疲れ様じゃ」

「ああ、ありがとう......って言ってもそんなに疲れたないんだけどな」

「じゃあ他の場所に居る地帝も倒しながら上に戻るか」

「そうだな」

「了解......にしても今更だけど本当に広いな......ここ」

「主がいたんじゃからな」


――――――――――――――――――――


「まぶしっ」

「やっと上についたな......思ったよりも深く潜っておったようじゃな」

「.........で、神楽?手合わせはここでしてくれるのかな?」

「ほう、今したいと......妾は構わんぞ」

「え?ちょっと、神楽?蒼?」

「じゃあ神楽、準備いいかな?」


そう言って蒼は俺と神楽から距離を取り刀に雷を纏わせる


「祐樹見ておれ、これだけで勝って見せるぞ、戦い方を見ておくんじゃ、蒼もあれはちゃんと強いぞ」


そう言い神楽は刀に妖炎を纏わせる

神楽は他の異能を使わずに妖炎だけで勝つつもりのようだ


「祐樹、合図してくれない?」

「え?」

「そうじゃな祐樹、頼んだぞ」

「わ、わかったよ......」


俺は近くにあった木の枝を拾う


「じゃあこの枝を投げるからこの枝が地面に落ちたら初めてね」

「わかったよ!」

「了解じゃ」


そう言ってから俺は拾った木の枝を投げる

神楽と蒼の間に緊張が走る


――――トンッ


木の枝が落ちると同時に神楽と蒼の両方が走り出す


カンッ、カンッ、ガッ

そんな音を出しながら目で追うのがやっとな速度で走りながら二人が刀を打ち合う


神楽が木を蹴って加速し蒼がそれを刀で止める

神楽が木の上に乗った時に蒼が追いかけて斬りつける

それを神楽が避けて空中に逃げ蒼が追撃をする

すると神楽がそれを狙っていたかのように回転しながら切りつけて蒼を叩き落とす


「狙ったな!?!?」

「もちろんじゃ、予想通りの動きをしてくれてありがとの!」

「なんか悔しいな......」

「もう何がなんだかよくわからない.........」

「まだ行くよ神楽!」


蒼が猛攻を仕掛け神楽が受け流しながら少しカウンターを仕掛ける


「やるねぇ、これは?」


蒼が神楽から距離をとり刀を振り上げ刀に纏わせた雷を神楽に向かって飛ばす

すると神楽は飛んできた雷を刀で弾いて斜めに逸らす


「なんで雷を逸らせてるの!?!?」

「例外を除けば異能は異能で弾ける、基本的に異能のレベルが同じなら飛ばして攻撃した異能にたいしては後から攻撃する異能のほうが優先される」

「なにそれ.........もうわからないよ......」

「蒼!妾も行くぞ!!」


そう言って神楽は刀を横向きに振って妖炎を飛ばす


――――――――――――――――――――


作者の勝手にQ&A


Q.ちょっと最後の方の神楽の説明がわかりにくかったのでもう少し詳しく説明してほしい!


A.少しわかりにくかったですね、すいません。例えを言うならば雷や炎、氷や風、こんなふうに飛ばして中距離で攻撃できるような異能はたくさんありますが、こういった異能で飛ばした攻撃を刀に纏わせた異能で受ければ相性に関係なく受ける側が優先されて弾くことができます。もちろん飛ばした異能同士ならば相性が大事なので炎と氷で打ち合えば炎が勝ちます。

あ、あと神楽が言ってましたけど「異能のレベルが同じなら」ここ大事です。

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