第67話

両サイドの芸人がつっこむにつっこめない内容で、アイドルと俳優に食われる始末。



朱朗は世間的にクズ俳優として知れ渡ってはいたが、そのイメージを逆手に取り、あえて自らオープンにすることで会話のネタとして広げていた。



悪いイメージで定着している分、それ以上に下がることはないのだ。



そしてスタッフや共演者への配慮は怠らないため、映画の脇役や番組のゲストとして使われることは多かった。





「オッケーでーす!一旦休憩入れまーす!」



全てのカメラのタリーランプが消えて、映りを確認するため朱朗と華井がモニターを確認しにいく。



「うーん華井は今いち華がない」

「朱朗はイメージ通りのクズさがにじみ出てる」



周りのスタッフが笑いながらも適当なフォローを入れた。互いのフォローにあくびが止まらない俳優とアイドル。



この二人、年齢は21歳と25歳で離れてはいるが、波長が合うのかカメラが回っていないところでも仲が良かった。




アウトドア用の椅子に並んで腰をおろす朱朗と華井。



華井が首を回しながら言った。



亜泉あずみは実力でのし上がったってのに、弟のお前は亜泉の力でしか活躍できんとか。」


「うるせーあず兄だって半分は俺の子役時代の名声のお陰でアイドルになったんだよ」


「よかねえ、裏でしか知られてない兄弟同士の相殺コネクションって。」 

 

「俺とあず兄が世間に兄弟だって知られたら、あず兄のイメージガタ落ち、俺のイメージ爆上がりすっかなあ」


「せんせん。どっちもイメージガタ落ちだわ」

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