第42話 エリュシオンからの帰還と15年前の事件の終結

智紀達が目覚めたのは、もといた事件のあった叔父の旧家だった。


「エリュシオンから戻ってきたんだ……」智紀が言った。

「夢だったのかな」史郎が呟く。

「ううん、夢なんかじゃない」蘭が言った。

「そうだな……」蓮羽も同意した。


「あれ見て!!」光が怯えたように叫んだ。


そこにいたのは、ボロボロになった黒沢だった。

手に庭に咲いてあるダリアを持っている。


黒沢はダリアの花を眺めながら、ポツリと口をひらいた。

「……ダリアの花言葉を知っているかい?ダリアの花言葉は……『裏切り』」


そしてゆっくりと語りだした。


「事件の真相をおしえてあげるよ。乃蒼君の父である、義光は、大學卒業後、音楽作家として華々しく活躍し、美しい妻、由紀と子供2人を得た。俺は義光に大學のサークル仲間の縁で、作曲を提供した。しかし、あいつは『これはつかえない』と笑った」

「悔しかった…悲しかった。あいつのすべてを破壊してやろうと思った」


「その日、義光の家にいき、口論になった。口論の末、持ってきたナイフで義光をめった刺しにした」


「おれのほうがすごい!!おれのほうがすごい!!」

憎しみと涙が溢れ、何度も刺した。

死に際、「驕るな。お前は世界も狭く、自分の事しか考えてない。尊敬されるためには尊敬するべきだ」義光は俺に、この俺に説教してきたんだ!!

「うるさい、うるさい、うるさい!!」

義光は絶命した。

その後、妻の由紀を手籠めにして胸を刺した。

長男の正は家に部活でいなかった。

2階に次男の乃蒼がピアノを弾いていた。由紀は刺された体を引きずり、乃蒼を守るため体を這ってきた。俺は由紀にとどめを刺した。

俺は二階に上がった。

扉を開くと、なじみのある曲が聞こえてきた。

「……ザルガバース城で叔父さんが弾いてた曲ですね」

智紀が言った。


「それは俺が作った曲だった。義光に貰ったのか、自分で発掘したのかわからなかったが。涙が溢れた。この子を殺したら、俺はもう何もなくなってしまう……楽しかった大学時代も、夢も、音楽作家を志す大切な意思も……」


「殺せなかった……殺せなかったんだよう……」

黒沢はその場にへたりこんだ。


そこにエリュシオンから帰還した、星哉、加奈子、小夜が黒沢を捕らえた。

外には警察のパトカーが何台も止まっていた。


こうして15年前の事件は幕を閉じたのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る