第2章25話「二人の影と怨念の気配」
しばらく歩くと、向こうからミナが戻ってくる姿が見えた。彩菜は手を大きく振ってミナに合図を送ろうとしたが、彼女の背後に漂うドス黒いオーラが目に入った。
「なんか…やばい」
彩菜はおばぁと我如古に向かって「隠れよう!」と小声で告げた。おばぁは彩菜の緊迫した表情から何かを察し、無言で我如古を促し3人は身を隠した。その直後、何も知らないミナが彼らの後ろに現れた。
「うわっ!」
突然のことで彩菜は悲鳴を上げそうになったが、おばぁがその口をすぐに塞いだ。状況が呑み込めていない我如古はキョトンとしたまま3人を見渡している。ミナはジェスチャーで「驚かせてごめん」と伝え、彩菜も少し安堵した表情を見せた。
しかし、ふと目の前に目をやると、先ほどまで彩菜たちが立っていた場所に、もう一人の「ミナ」がいる。そのミナからは明らかに禍々しい黒いオーラが漂っていた。
「…ミナが…二人?」
状況を理解できず混乱する我如古が小声で隠れているミナに問いかけた。
「お前…誰だ?」
「私が本物。あっちは怨霊型で、たぶん特異型ね。怨念がビンビン感じるわ」
ミナが静かにそう答えると、彩菜も向こうのミナから放たれる不吉なオーラを感じ取っていた。「確かに、あっちのミナからドス黒いオーラが出てる…」とおばぁと我如古に伝える。
我如古が「それで…どうする?」と困惑の表情で尋ねると、彩菜は首を横に振り「無理」と小さく答える。おばぁも同様に首を振り、ミナも同意するかのように頷く。全員の結論は一致していた。「敵わない」と判断し、音を立てずに退散することを決めた。
ふと、彩菜は振り返り、ゾンビが出現していないことに気づく。「あの怨霊型がゾンビの発生源じゃないってこと?」と小さく呟き、疑問を抱きながらも先を急ぐことにした。
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