第87話

いつもと変わらず22時半。

傘を片手に、コインランドリーに来た。


今日もやっぱりリョウジが先に着いていた。

少し様子が変だ。


椅子にも座らず壁に寄りかかりながら

洗濯機を見つめている。



「 ごめん。お待たせ。すごい雨だね。

リョウジ、髪濡れてるよ?拭く? 」



そう言って、ハンカチを渡そうとリョウジに

駆け寄った。



『 ユウミ、よく聞いて。 』



ハンカチを差し出した私の手を無視して

濡れた髪の毛の隙間から、揺れる目を

覗かせるリョウジ。


いつになく真剣な眼差しだ。



「 どうしたの? 」



何も答えない。



「 リョウジ? 」

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