3. 死にたい気持ちとヤりたい気持ち

第46話

秋人からのプロポーズを一旦保留にさせてもらった。プロポーズを保留にする人って世界に何人いるのだろう。


 というか付き合ってるわけじゃないし、しかもド変態性癖が発覚した直後のプロポーズって、フラッシュモブよりも大胆なサプライズだと思う。



 ラブドールと一緒にプロポーズされた人はきっと世界中で私くらいだろう。まあ漫画の中だし。



 秋人のことは嫌いじゃない。ストーカーな一面やド変態性癖があっても、やっぱり嫌いにはなれない。


 いっそ嫌いになれたら、"気を持たせすぎ"なんて言われることもなかったんだろうけど。



 とりあえずその日はもう秋人を休ませ、私は再び授業に戻ることにした。


 大教室は男で溢れ返っている。


 後ろのドアからそっと入る私に、皆の視線が釘付けになった。


 ···何で??私、なるべく音立てないように入ったつもりだったのに···。



 一番後ろにいた男子が、「隣に来いよ!」と小声で話し掛けてくれた。


 座ろうとしたところで、通路を挟んだ方の席から違う男子に手を伸ばされて「一門今日めっちゃ可愛いじゃん!」とお尻を軽く叩かれた。



 あ、全然忘れてたけど、今日の私の格好、いつもと違うんだった。


 そうだ、今日の私はジェンダーレスボーイだった。(言ってみたいだけ)



 私が「何言ってんだよー」と照れ笑いをしながら席に座ろうとする。


 でも私のお尻を叩いた男子が、その隣に座っていた男子に、思い切り頭を机に打ち付けられたのだ!



ドガアアッッン


と机が抉れる音が教室中に鳴り響いた。

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