第26話
それでも乗り終わったら思うんだ。
「お前マジで人生損してるよ……?」
「え、いや、わたしお腹はすいてな…、」
「食えなかったら俺もらうしだいじょーぶだって!一口だけでも食べろよ」
──もう一度、って。
「じゃ、上着持ってここ集合な」
「…ほ、ほんとに行くの?」
「ほんとに行くよ」
視界からスリッパが消えて影が落ちたかと思えば、金色が見えて。次の瞬間には黒い瞳が目の前に現れた。
「ねー?石川くるみちゃん、俺のカオこっち」
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