第10話

「お礼とかいーって。クラスメイトなんだし助けるの当たり前だろ」


「……っ」




……見なくたって分かる。


彼がとんでもなくキラキラなオーラを纏っているって事。




「つか石川さぁ」


「……は、はい」


「けーごやめれって言ったじゃん」


「ひぇ…っ」




言いながら目の前に現れたのは、くっきり二重のアイドルのように整った顔。さらさらストレートの金色の前髪が、長い睫毛に縁取られた黒い瞳を引き立てている。




資料を睨んでいたわたしの視線の間に割って入るように覗き込んできたのは


──桐生暁くん。




高校のクラスメイトで、わたしの恩人でもある飛鳥さんの弟さんだった。



そして、西高四天王なんてドラマの中のような名称で呼ばれる四人の中の一人で。



わたしとはまるで住む世界の違う人。

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