長い沈黙が続く。


夜の公園は、物音がほとんどしない。




風の音だけが、二人の間をすり抜ける。


どれくらいの沈黙だったろうか、啓一がふと言葉を発する。




「ごめんな……祥子」




静かな声だった。


祥子はその言葉の意味を理解は出来なかった。




別れのごめんねなのか。


連絡をしなかった事へのごめんねなのか。




祥子はその意味を啓一に問う事が出来なかった。


答えを聞いてしまったら、終わってしまう気がしたのだ。




「祥子、俺は歌手になる。夢を叶えたよ」




啓一はブランコから立ち上がった。


祥子に背を向けたまま。




「うん」




そう返事をした祥子。


その言葉しか出なかった。




「ずっと思ってたんだ。お前の存在……」




啓一はそう言うと、少しうつむいた。


祥子はなんとなく察した。




これから啓一が話す内容を。


やっぱりと思いながらも、涙をこらえるので精一杯だった。

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