第9話

「はぁ。」


仕方なく私は小説を閉じて、


その、北川直人ってやつに顔を向ける。


「あの、よろしく、えっと…。」


と、北川がどもる。


…あぁ、私の名前がわかんない訳ね。


教える気もないけど。


てか、私の読書タイムを邪魔しないで欲しい。


私はプイッと本に視線を戻すと、


また小説を、読み出した。

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