第3話
「ねー、ひめちゃんさあ。
今何時か言えるかな?時計読める?」
対面式のテーブルに座るわたしたち。
私の真正面が次男の朝妃兄。
朝妃兄の右隣に長男の蒼哉兄、左隣に三男の妃響が座り、
他のお兄ちゃん達はリビングのソファーから私たちをみている。
(見ているなら助けてよ!)
って視線を送るけど「怒られて当然」って態度の兄たちは味方になってくれないらしい。
わたしが門限を破り、挙句連絡も怠り深夜帰りしたから怒られるのは当然なんだけど……
お兄ちゃんほぼ勢揃いってズルくない?
わたしの味方は年子の兄の悠ちゃんくらいなんだけど、今日は愛妃の集まりとか言ってたから居なさそう……。
「ねえ、聞こえてるかな?ひめ。」
長男の蒼哉兄、次男の朝妃兄、三男の妃響兄はわたしの兄というより
第二、第三の父親みたいな存在で。
" ひめ " と呼ぶ時は怒っている時って知っている。
朝妃兄は深夜帰りしたわたしを怒っているんだ。
「連絡しなかったのは……ごめんなさい。」
「それもだ。それも、ある。
門限は10時だろ?今1時まわった。
こんな時間まで何してた?」
何してたっていいじゃない。
たまには、ひとりになりたい時がある。
パパが過保護になるのは末娘でひとり娘だから大切にされている自覚はある。
お兄ちゃん達も、そう。同じなんだって……大切にしてくれるのは嬉しい。
今はその気持ちが辛くなる。
わたしは―――…………。
言ってはダメだと思ってきた。
喉の奥まで出かけた言葉をのむ。
睨みつけてくるお兄ちゃん達の視線が痛くて、怖くて、辛くて……わたしは家を飛び出す。
「あっ!おいっ、妃愛っ―――……!」
お兄ちゃん達から必死に逃げる。
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