第47話

「あんなに謝りたいって言ってたのに、あれは嘘だったんですか」


「…んなわけねぇだろ」


「じゃあ一緒に行きますよね」


「今まで一緒に過ごしてきて何も言わなかったっつーのに、今更どう言えっていうんだよ」



本当は分かってんだ。


俺は思い出さなかったんじゃなくて、思い出したくなかっただけってこと。


心のどこかで“あの子”が琴乃じゃなければいいと思っていたこと。


謝りたいと思う反面、あいつの笑顔が消えるのが怖かった。


だから俺は気づかない振りをした。



「女みてぇにウジウジすんな。うぜえ」

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