第23話

「……お前、苗字は」



赤メッシュがじっとこちらを見ている。


ゆっくりと、視線を合わせて。



「…五十嵐」


「…違うな」



そう小さく呟いた赤メッシュは、興味が失せたというように私から視線を外した。


いったい何なんだ。



「…達馬さん、今日はもう帰るね」


「あ?こいつらのことなら気にしなくていいんだぞ」


「いや、うん。でも今日はもう結構いたし、帰る」


「そうか」


「うん。また来るね」



そう言って、店を出る。


見上げた空はオレンジ色に染まっていた。

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