第3話:警察の反応

 警察)


「……で、なんで私たちは病院に向かってるんすかー? 科捜研で沢口靖子が死因を特定してないんすかー!? 検視のために石原さとみとかがご遺体を調べたりー!」

「バカ、お前はテレビのの見過ぎだ。」


 福岡県警西早良警察署のベテラン刑事と新人の女性刑事がパトカーで病院に向かっていた。


「話を聞くんだよ。医者に」

「え!? 医者!? 死んでないんすかー!?」


 運転はベテラン刑事の飯島が担当。まだまだ安心して若手に運転を任せることはできない。新人女刑事海苔巻あやめは優秀ではあるがまだ若さが前に出ている。好奇心が勝ってうっかり失言することもあった。


「物騒なこと言うなよ。アラレちゃん。『死んだ』なんて一言も言ってないだろ」

「だから、飯島さん! 私の名前は『海苔巻あやめ』! 「ア」しか合ってないじゃないすかーっ!」


 むきになって言い返す姿にベテラン刑事飯島はふっと口元を緩ませた。


「昔の人気マンガを連想させるんだよ。お前の名前は」

「知らないっすよー! そんなのー」


 海苔巻刑事は新人でまだ若い。署のみんなからは親しみを込めて「アラレちゃん」とニックネームで呼ばれていた。


「でも、被害者は段ボールで送られてきたんすよねー!? よく生きてましたねー!」

「人ってすげえな。彼女はなんとか生きてた。彼女の名前は花園芽亜里、17歳。福岡市内の高校に通う高校生だ」


 警察署から花園芽亜里が入院しているという病院まで距離にして約5キロ。時間にして約15分。その間に必要な情報を飯島が新人刑事海苔巻あやめに伝えていた。


「父親の花園潔が騒いでいるのを近所の人が気付いて警察に通報して発覚、救急車で搬送されたのが今から行く安影総合病院だ。手足を繋ぐ手術をしたのが森脇って外科医」

「繋がったんすねー! 手足! また動くのかな?」


 そんな半分は不謹慎な会話でパトカーは病院に着いた。


 そして、後になってこれが「文豪」の殺人予告2作目の小説に出てきた内容と驚くほど合致していることが判明するのだった。もっとも、花園芽亜里は生きていたので「殺人」ではなく、「殺人未遂」にとどまった。

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