16話 過去の追跡(後編)
午前の授業が終わり、昼休み。
「いくつか情報を集めてきたわ」
そう言って私は卵焼きを食べる。
(ん、甘い……いや甘過ぎない?)
あまりの甘さに顔をしかめていると、サンドイッチを片手に、水谷さんが問いかけてきた。
「情報ってどんなのですか?」
「そうね。まずはメアリーさんの正体についてね」
私はアヤさんに説明するよう促す。アヤさんはコクンと頷き、ゆっくり話し始めた。
「1999年の8月、夏休みですね。轢死した少女が一人いたそうです。名前は
資料によると、彼女は普段から公園で小学生たちと遊んでいたらしいです。それで、道路に飛び出した子供を庇い……」
「なるほどな。確かに電話口でも『遊ぼう』って言ってたな。アイツはただ遊びたかったってことか。
つーかよくそんなの調べられたな」
「帷子先輩に手伝ってもらいました!」
「あー
先輩はそう言いながらおにぎりを頬張る。あれだけで昼ご飯足りるのかな。そういえばゲームでも意外と少食だっけ。
「あれ?恨みとかで生まれるのが幽霊って聞いてたんですけど、その場合はなんなんですかね」
水谷さんが首を傾げ、尋ねる。私が口を開くよりも先に、先輩が内容を口にし始めた。
「若い内に死んだ人は『死んだ』ってだけで恨みが溜まるんだよ。青春真っ只中なだけあって『なんで自分がこんな目に遭わなきゃいけないんだ!』ってな」
前世の私も、死んだ時にそう思っていた記憶がある。もっとも、私の場合は父の故意的な殺人だったのでその分も加算されてる気がするけど。
「恨みを払うにはどうすればいいんですか?」
「負の感情が吹っ飛ぶぐらいのポジティブな気持ちを抱かせるしか無いな。幽霊ってのは未練が無くなれば成仏するんだが、この方法だと成仏しないってのが問題点だな」
やるせない思いを抱え死を迎えた者は、負の感情で怨霊に、正の感情で浮遊霊となる。その辺りのメニュー画面からなんども設定を読んだので覚えている。結局浮遊霊がどうやって成仏するのかは分からなかったんだよね……。
「話を戻すぞ。他にも情報はあるんだな?」
その言葉に「ええ」と答え、頷く。私はまず、報告の内容を伝えた。
「電話番号があった場所についてだけど、そこに花束が置かれていたらしいの。まぁ彼女が死んだ場所でしょうね」
ここまでは調べさせた情報だ。そしてここからはゲームで得た情報。頑張れば全ての情報を入手でにると思っていたが、どうやら見積もりが甘かったみたいだ。
死ぬわけにはいかないので、今回は特例として解決法まで用意した。
「メアリーさん……生前は肴さんだったかしら?彼女に献花を持ってきた人にちょうど出会ったらしくて、彼女についての話が聞けたの。
彼女はとても活発で、いわゆる女子が好む物よりも男子が好む物で遊んでいたらしいわ」
「男子が好む物か……いや、わかんねぇな」
「あの時代の流行……私も流石に知りませんねー」
先輩と水谷さんは知らないようだ。一津さんに視線を向けても、黙って首を横に振るだけだった。
知らないのも無理はない。そもそもこのゲームをやるまでは私も知らなかったんだから。
「
アヤさんはスマホを片手に、皆に聞こえるようにそう言った。私は「ありがとう、アヤさん」と軽く感謝を伝え、立ち上がった。
そうして私は至った結論――攻略法を口にした。
「つまり、彼女の負の感情を払い解決するには、皆でそれらの遊びをすればいいんです!!!」
「「「「……はい?」」」」
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