5: 容疑者たち~who done it~
かつて魔王マハルディアが封印されていた
9位ステラ
8位シャーロット
7位アナスタシア・フォン・ミリオンゴッド
6位マリアロス・シージエ
5位グレイソン・コート(死体で発見)
4位レガリス・エスト
3位真城つばさ(死去)
2位伏見遊都(地球へ帰還)
1位徳川巴(地球へ帰還)
この場に参集したのは、ステラとマリアロスとレガリス。そしてレガリスのそばにはいつものマーガレットである。屋敷の中から今日も鏡を操作し、レガリスのそばを飛び回っている。魔王がいなくなり、所在を移しても構わないのに今までの習性はそう簡単には抜けきれないらしい。
「なにか……用?」
ぶっきらぼうにステラが尋ねる。民族調の刺繍が入ったフードを目深にかぶり、不機嫌極まりない。伏見遊都にふられてからその態度は誰に対しても冷たい。戦績とその特徴的な青髪から氷の女王と呼ばれているとかいないとか……。
「今日集まってもらったのは他でもない大祓ファイナルテーブル進出者であるグレイソン・コートが死んだ。……遺体はそこにある。ステラあとで遺体の保護を頼む。一応私の魔法で冷やしておいたがな。得意ではないのだ。真犯人が見つかるまで保存しておきたい」
「まあ、いいけど」
「それでだ……グレイソンの最期のメッセージから私はファイナルテーブル参加者がグレイソンを殺したのではないかと疑っている」
「なんだって! 死んだのか! あいつ」
レガリスが走ってグレイソンのそばに駆け寄る。マリアロスとステラもゆっくり歩いてグレイソンのそばによる。悲嘆の声がホールに響いた。
「非常に残念です」
マリアロスが糸目を伏せて、神職者らしくグレイソンの冥福を祈る。
「この場にいない容疑者は……伏見遊都と徳川巴も該当するんだが、外していいと私は思っている」
「どうしてなんだい?」
レガリスがチェックするかのように人差し指を空中で回す。
「アリバイさ……伏見遊都と徳川巴が地球へ帰った時、グレイソンはまだ生きていた。それに……別世界へつなぐ魔法陣は気軽に使用できるものではない、もう一つ懸念点をあげれば見知らぬ異世界の地でどうやって連絡をとっていいものか、一応連絡先なるものは教えてもらっているがな」
懐かしさからかマリアロスが笑みを浮かべ、ステラが遊都の名前を連呼していた。連絡先をもらっていることは失言だった。ステラからのヘイトが凄い。
「そうだ……地球に追わなきゃ」
幽鬼のようにステラがどこかに向かうのをアナスタシアがスキルを使い、ヘイトを管理して引き戻す。
「グレイソンに最期に会ったのは誰だ」
「はい、私は看病しておりました」
マリアロスが手を上げる。
「……覚えていない」
ステラは同じく病床に伏せっていたはずだ。主に精神面で状態が危なかった。
「グレイソンが良くなったあと飲みに一緒に行ったよ。となると僕が最後かな」
「お姉様……私グレイソンが街でボタンゴーレムを並べていたのを見ました」
とすると……怪しいのがレガリスと……疑いたくないがアナスタシアも容疑者に入ってくるか。
「私見ましたわ。レガリスとグレイソンが言い争っているのを!」
マーガレットがびゅんびゅん飛びながら声高に宣言する。こいつは誰の味方なんだ。
「君も疑わしいんじゃないのかい?」
レガリスが私を指して言う。
「当然だな……旧知の中であったがそれは疑いを外すものにはならない」
「ひらめ! ……遊都もトリックを使えば容疑者になる……はず」
ステラが前提を混ぜっ返す。
「そうだな……死亡時間を操作とか……遠隔で殺したとかなると正直お手上げだ」
「このトランプがファイナルテーブル参加者を指すならば、真城つばささんも入ってくるのでしょうか?」
マリアロスが心配そうに語る。
「
ハタゴの丘で灰すら残さず逝去されたことを思い出す。
「…………お姉様言うべきか悩みましたが、そうとは限りません」
「なに?」
予想外の方向から反論の声があがる。
「真城つばさ様はいくら長久の時を生きようとも決して朽ちぬものを身につけられておりました」
全身を雷が貫いた気がした。
「
「そうです。そのとおりです」
「まだ……生きてる?」
「その可能性は高いと思っています」
「だとしたら、なぜ姿をあらわさないのだ」
「それはわかりませんが……今分かっていることは」
9位ステラ(容疑者)
8位シャーロット(容疑者)
7位アナスタシア・フォン・ミリオンゴッド(容疑者)
6位マリアロス・シージエ(容疑者)
5位グレイソン・コート(被害者)
4位レガリス・エスト(容疑者)
3位真城つばさ(容疑者new!)
2位伏見遊都(容疑者new!)
1位徳川巴(容疑者new!)
事態は混迷を深めたということだけだった。
「誰が殺したかで絞れなければ……どうやって殺したのか、だ。これを考えていこう」
シャーロットは迷宮入りしかけているこの事件の真相に近づくべく、思考を切り替えた。
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