第19話
「…はぁ、また嘘をついてしまった眉山さんに。すみません。まだ渚君の事を打ち明ける訳にはいかないんです」
自分の嘘を信じ、自分を他の従業員と同じように扱ってくれる眉山に感謝しながら、仕事用に使っているピンクのスマホを同じく仕事で着る洋服以外すべてを収納している鍵の付いた金庫を置いている寝室に戻った。
美緒の部屋は、築10年の1LDKマンションで、敷金礼金なしの家賃6万円。
そこに、美緒はまさかの西條侑李さんを保証人して5年前から一人暮らしている。(借りた時の保証人は、眉山だったか途中で西條に変わって貰った)
西條侑李さんは、刑務所に居る渚君から5年前、自分が居なくなる間、私の事を守って欲しいと頼まれていたらしい。
しかし、侑李さんもすぐにはそのお願いを了承しなかったらしい。
それどころかの頼み事を叶える条件として、自分宛てに毎月手紙を書く事を追加したらしい。
そして、最終的に渚君もそれを受け入れ、改めてお願いする形で交渉が成立したらしい。
それから侑李さんは、自分の仕事の合間を縫って私にばれないように私の居場所を見つけ出し、私にばれない様に私の部屋が見えるむかえのマンションに引っ越した。
そこから5年ずっと私の事を近くで見守り、時には離れた所で応援してくれた。
でも…そんな生活が続いた10月。
突然侑李さんが、私の職場に現れて渚君の手紙を書かないかと言ってきた。
突然の提案に驚きながらも渚君に5年間の想いと今の近況を込めて手紙を書き、彼に手紙を託した。
しかし、どんなに待っても渚君の返事はかえってこなかった。
結果的に侑李さんから、今日(12月19日)に渚君が帰ってくる事を教えて貰った。
だから…
「…お久しぶりです」
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