第53話

自分達の同期入社であり、友人でも市宮百花が、所属している黒蝶編集部は、政治家や経済界の大物、そして芸能界のスクープを扱っている。

 そのせいで、黒蝶で働いている百花を始めてする編集者は、常に命の危険に晒されている。

 だからこそ、百花たち黒蝶編集者達は、身体を鍛え、自分の身を護る防犯グッズを常に持ち歩いている。

 ※百花は、カバンの中に警棒、防犯ブザ、催涙スプレー、あと、何故か手帳。それも、かなり使い古した感のある黒い手帳を常に常備してする。

「そうなんだ。けど、黒蝶の仕事柄? それぐらいの装備はしょうがいないじゃない?」

「……胡桃? あんたそれ? 本気で言ってる?」

「えっ?」

 璃菜さん? なんか顔が怖いよ?

「……胡桃。確かに、黒蝶の仕事は、他の部署と比べて危険だよ! 私も大学時代インターンで1ヵ月だけど、先輩の下について、黒蝶の仕事を実際に経験してみて、凄くいい経験になったし、だけど、同時に言い記事(スクープ)を書く為には、危険が常につきものなんだって、その証拠に、私の教育係になったくれた女性の先輩だったんだけど、その人? 自分書いたスクープ記事(某芸能人の薬物使用疑惑)のせいで、書かれた本人が自殺未遂を図ったって、命こそ助かったけど、その某芸能人はそのまま芸能界から辞めてしまった。そして、そのきっかけ(記事)をつくった先輩も、その責任から会社を退社し、今は、大好きだった編集とは全く関係ない仕事をしている」

「……」

「胡桃。私達の仕事は、誰かを楽しませることもあるけど、同時に、簡単に人の事を傷つけたり、誰かの人生を大きく変えてしまうことだってある。だから伝える側である私達は、決して嘘の情報、きちんとした情報を発表しなければいけない」

 浜中商事みたいなことを二度と起こさない様。

 そして、澤井先輩みたいな悲劇を繰り返さない為にも。

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