第65話

『…昴。最後の仕上げよろしく』

『…会いに行くんだろう? そして、美緒さんの事……』

『……あぁ。もう僕を邪魔する者はいない』

『なななぎ渚ちょっと待って!』

 昴は、電話を切ろうとした渚を自分でも解らないけどに引き留めていた。

『なに?』

 案の定引き留められた渚からは、疑問の声が返ってくる。

 その声に、渚に直接言えなかった自分の本音をぶつける。

『渚。僕が初めて君に灯さんを紹介した時に、君はまるで自分の事のように喜んでくれたよね? そして、灯さんに言ってくれたよね? こいつは優しくて頼りになる俺の自慢の親友ですって。嬉しかった。だから、渚。俺は、お前にも彼女と幸せになって欲しい』

『…ありがとう』

 その言葉を一言告げられると渚からの電話は一方的に切れてしまった。

_プチ 電話が切れる音_

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る