第61話
22時20分 西野なこ 自宅マンション(但しまだ家には帰っていない)
「……ハァ眠い? 早くか……んん?」
兼城との電話を終え、コンビニで明日の朝ごはんを買った帰ってきたなこは、マンションのすぐ隣にある公園のベンチに腰掛ている男性に目が留まる。
確かに、なこが暮らすマンションの駅前にあり、10分も歩けばコンビニもあり、夜でも比較的人通りもある。
でも、こんな時間に公園で遊ぶ人はいない。
なので、なこは急ぎ足で公園の前を通り過ぎ、マンションへ行こうとしたら……
「おい!」
とどこからか声が聞えてきた。
「!」
なこは、突然聞こえてきた声に驚き、うしろを振りかえる。
しかし、誰もいない。
「あれ? 誰もいない? こわ! 早く行こう」
と再び歩き出そうとしたら……
「おい!」
と再び声が聴こえてきた。
なこは、またうしろを振りかえる。
やっぱり誰もいない。
「本当になんなの! もうやだ!」
早く家に帰って、誰もいない部屋で一人でたいのに。
なんで薪君じゃあないことで泣かないといけないの!
なこは、姿の見えない恐怖に……ここまでずっと我慢してきた涙が溢れてきた。
「なんで、こんな意味不明なことで泣かないといけないの! 私は、失恋で泣きたいのに……」
もう自分ではこの涙を止める事ができない。
自分の部屋にむかって止まらない涙を流しながら駆け出す。
★
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます