第9話

朧と合流し、朧が用意した車の中で制服を脱ぎ、スーツに着替えた。

「で、今回の依頼は、一体誰?」

「それについては俺も知らない。俺もさっき社長から連絡貰ったから」

 今回の仕事は、いつも以上に大変だと思って演技までして、学校を無断で抜け出してきたのに依頼すら知らない相棒にため息も返す言葉も出ない。

「はぁ? だったら、いつも通り学校終わってからでいいじゃん」

「それだと間に合わない。それどころか社長に殺される」

「はぁ? なにそれ? どういう事?」

 益々、朧の言ってる意味が分からなくなってきた。

「今日の社長からの連絡はいつもとは違って暗号できたんだ。これを解いて零と一緒に十一時までにその場所に行けって」

「暗号! そんな連絡俺には来なかったぞ」

 自分には、そんな暗号こなかったと零は叫ぶ。

 すると、朧は呆れたように呟く。

「零、お前、社長に携帯番号教えてないだろう?」

「あぁ!」

「知らないなら、そもそも社長も連絡できないだろう?」

 携帯画面を見せる。

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