第44話

「廣田くんは、亜美先輩と隆太先輩が元サヤに収まった方がいいの?」


「亜美がりゅーちゃんを好きなら、それでいい。

俺には、ほら、上野さんがいるし。」


その笑顔、ずるいよ。


ますます好きになっちゃうじゃない。


「廣田くんは、亜美先輩が好きなんでしょ?

だから、あたしより、亜美先輩の方が大事だよね?」


自分が言った言葉に、自分で傷つく。


そして、自分で訊いたくせに、答えは聞きたくない。


「俺は…」


「あっ!あたし、日直だったんだ。

急ぐから、先に行くね!」


廣田くんの手から逃れ、急いで校舎に入る。

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