第7話

「28歳で四人目ですかぁ。早くに結婚されたんですね!


「ああ、うん。デキ婚で、21の時にね…」


『アタシなんて、四大出だから、すでに23だよ』なんて心の中で叫んでいると、


「ん。」


「…はい?」


「寒いから手、繋ご?」


「えーっ?妻子持ちの人とはイヤだなぁ。

悪いことしてるみたいで」


「手ぐらい繋いだっていいでしょ、ね?

あの二人だって…」


と、もう、10歩くらい先を歩いてる二人を指差す田原さん。

そして、アタシの左手をぎゅっと繋いできた。


「女の子と手繋ぐなんて、久しぶり。」


「奥さんとは繋がないんですか?」


「子供が出来たら子供と繋ぐから、奥さんとは繋ぐことないよ」


『でも、四人目生まれるんだよね?ってことは』なんて考えていると、いつの間にか寮近くへ。


「美咲っち、早くー!」と、早苗が小声で叫ぶ。


寮といっても普通のアパートだから、完全個室。

でも、誰かに板さんたちとこんな夜中に一緒にいるところを見られたらマズイ。


早苗のところまで小走りで走る。

「送ってくれてありがとうございましたぁ」と早苗。

アタシも言おうとすると、早苗に右手を引かれ…たかと思うと、左腕をぐいっと引かれ、そっちを見ると田原さんが、私の耳元で

「電話するから」


「おやすみなさーい」

と言いながら、私の右手を引いたまま、早苗が足早に歩き出す。

「おやすみ」

という後ろから聞こえる声に振り向くけど、暗くてよく見えなくなってしまった。

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