第125話
君の声が聞きたくて、タバコを吸いおわったあと、電話する。
『もしもし。』
「奏?」
『はい。おはようございます。』
会えないからせめて声だけと思って電話したのに、声を聞いたら会いたくなって。
「今から、会える?」
口から勝手に出た言葉。
『…ご家族が入院中なんですよね?』
「うん。」
『それで会えないんですよね?』
「うん。」
『月曜日に会えますよ。』
それは、上司と部下として、だよね。
俺はひとりの男、ひとりの女として、君に会いたいんだ。
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