『短歌の秋』投稿作品 光とは絶望のことだ

ゴオルド

あなたの眼私を素通り灯台の光のよう海に消えたい

 片思い短歌です。

 かなり絶望的な片思いです。


 回転する灯台。

 船にとっての目印。

 ライトが暗い海を照らす。何かを目にとめて止まることもなく。



 ……ところで、恋愛ものはもう書かないって言ってませんでしたっけ……?

 しかも失恋。

 あれえ? どうしてえ?


 それは秋だからですね! 秋は失恋の季節って言いますし。え、言わない? 言うよ、言う言う。そういうわけで、書かない宣言を早くも破り、失恋ものを書いてみました。



「秋」は不定愁訴が出やすい季節です。「夕方」もそう。いよいよ冬が、夜が近づく、その一歩手前に立っていると、「終わり」の予感におそわれます。

 もうじき太陽にお別れしないといけません。

 冬と夜は、多くのほ乳類にとっては命にかかわる危険なもので、その予感が結構メンタルに影響を与える……らしいです。理由もないのに心身に不調があらわれる。しんどい。だるい。胸が重苦しい。涙が出てくる。やる気が出ない。でも病院で診ていただいても異常が見つからない。うつ病でもない。それが不定愁訴(のメンタル版)。


 昔ね、心理学部の教授(臨床心理士)がね、ある奥様のカウンセリングをしたんですって。

 奥様は「私は裕福で、健康で、家族にも友人にも恵まれ、趣味も楽しんでおり、何一つ不満がないのに、夕焼け空を見ていたら涙がとまらないんです」とおっしゃったそうです。

「ああん? 自慢か? おおん?」と教授は心の中で荒ぶったそうです。笑。

 でもね、これこそが秋の不定愁訴なんだね。


「恐れとは、今ある幸せを失うのことをいうのだ」と何かの本で読んだことがあります。


 秋は失う予感の季節です。

 恋を失う予感もまた、秋にふさわしいのでしょう。というわけで、秋は失恋の季節なのです(強引)。


 秋を乗り越えるためにハグしましょう。ぎゅっと抱きしめてあげてね。大事な人も、自分自身も。たしか20秒ぐらいだったかな。セルフハグでも効果はあるのだ。

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