手紙あなたへ

ありもと優

第1話 手紙あなたへ







 あなたへ



 あなたと出逢った日のことを

 いまでも鮮明におぼえています



 夏の終わり

 朝空はグラデーションを描き

 紅い炎のように輝いていました



 あなたはわたしを見ていた

 わたしはあなたを見ていた



 それは どこか次元を超えた

 魂からの共鳴のように

 わたしの心に映りました



 わたしたちに阻むものは何もなく

 距離が近づくたびに

 湧き上がる情熱と

 不安定な未来を少し悲しみました



 あなたから離れないと思ったこと

 求める気持ちに

 嘘はなかったのです

 それは お互い様だったことを

 わたしは理解していました



 別れの時に あなたはもう

 違う世界へ移行しようとしていました

 わたしが行けない場所に

 あなたは立っていたのです



 すごく かなしかった

 すごく つらかった



 もう思い残すことがないように

 精一杯の笑顔であなたを見送りました

 あなたの未来が歓迎されるように

 わたしにできることは

 笑顔でいることでした



 あなたが姿を消して

 わたしは苦しみにあえぎ

 二度と会えない

 再会はない

 その事実がわたしに苦痛を与え

 本物の愛を知らせました




 どうか あなたの

 かなしみの痛みが薄れますように


 どうか あなたに

 しあわせな日々が繰り返されますように



 祈りが届くなら

 きっと わたしは笑って生きれます

 死の間際まで

 あなたの幸を願うでしょう



 あなたがわたしに与えた

 一番つよいものを

 わたしは宇宙にそっと贈りだします



 あなたがわたしの涙を拭った時の

 寂しい色の瞳を 忘れません



あなたの未来がひかりに包まれるように

 

あなたの愛が大切な人を守ることになるように



 遠い場所から電波にのせます





 この手紙 あなたへ



 

 


 

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