第二十二話 反撃
城を取り囲んだままの膠着した状況は、翌日も続いた。フリッチが王弟に状況を報告し、被害の拡大を考慮した王弟が渋々ながらも了承したのだ。また、そこで初めて自軍の兵糧の窮乏も知ることになった。
しかし、フェデリーコ卿が独断で、王都に物資を送れ――と伝えてあることが分かると、一同は一様に安堵した。王弟の卿に対する意識にも変化が生じたが、彼を疎むオルフェオが横槍を入れた。
そもそもが、なぜ兵糧に窮しているのか――と。
「それは……」
王弟を含め、一同は言葉に詰まった。それを認めるということは、自分たちの兵糧に対する認識が甘く、調達方法についての見通しも不十分であった――と認めることになるからだった。誰しも、己の失敗や過ちを認めることには抵抗があるものだ。
結局、フェデリーコ卿に対する論議はそこでうやむやになり、兵糧も輸送されてくる分で賄えるであろうとの判断で、その日の軍議はお開きとなった。
翌日も包囲はするものの、その包囲の輪を縮めることが出来ずにいた。迂闊に近付けば、手酷い反撃を受けるので、遠巻きに囲むしか出来なかったのだ。初日の躓きが、ここでも尾を引いていた。
そんな国王軍に、その報がもたらされたのは午後のことだった。
兵糧を載せ、王都を進発した輜重隊百両が、襲撃を受け全滅したというのだ。リキが放っていたトッドの遊軍五百騎が襲撃、車両に火を放ち、兵糧は全て焼き払われた。
誰が判断したのかは不明だが、この時、王都側が付けた護衛は僅かに百騎しかいなかったのだ。城を包囲された五千余の敵が相手で、輸送中の兵糧を襲う余裕などなかろうと侮った結果であった。
しかし、今回の件で兵糧が乏しくなっていることが兵卒たちに知られることとなり、この城攻めに不安を覚える者たちが増え始めた。さらに、攻めているこのリキの城には、溢れんばかりの兵糧と財宝がある――と、まことしやかに囁かれ出した。
つまり、ここを攻め落とせば、食い物とお宝が同時に手に入るとの噂が、兵卒たちの間で広がっていったのだ。そのために兵たちが勝手に包囲を狭め始め、統率が取れなくなり出した。逃げ出したい者と、城を攻め、財を手にしたい者が一緒くたになってしまったうえ、指揮系統が混乱したままだったからだ。その上、一部の歩兵たちが興奮してしまい、城を攻める勢いで押し寄せた。
ところが、城に近付いた兵たちは、それまで見ていなかった光景を目の当たりにする。城壁の前に、騎兵たちが整然と佇んでいたのだ。正面にリキの千、両翼にクレア、ジョルジョの側近二人の指揮する各五百騎が布陣していた。
刀剣を掲げたリキの、クレアの、ジョルジョの、
「掛かれ!」
という声に、満を持して騎馬が殺到した。
それまでは城兵が討って出てくることはなかったため、国王軍はこの事態を露ほどにも予想しておらず、浮足立ったところを散々に打ちのめされた。さらに伏兵として放たれていたグイドとガラムの各一千騎も呼応し、連携して攻め立てた。
三方から包囲され、攻撃を受けた国王軍は算を乱して壊走した。主に歩兵ばかりではあったが、二千人ほどが討ち取られ、五千余が負傷するという大敗を喫した。
先陣のフリッチとニコロの二千騎が慌てて救援に向かったが、一度混乱に陥った軍を支えるのは歴戦の勇将であっても難しい。実戦経験の乏しい若い二人ではこの状況を収拾することが出来ずに、却って討たれる者が後を絶たず――という事態となった。フリッチとニコロはほうほうの態で逃げ帰るという有様であった。
辛くも生還したニコロが恥を忍んでフェデリーコ卿に意見を窺いに向かったところ、彼は撤退を勧めてきた。兵糧不足もあって兵たちの士気も喪失した今、戦は出来ない――というのが、彼の意見だった。
通常、城攻めには籠城する敵兵の三倍以上の兵力が必要とされる。しかも、相手が戦上手と謳われたリキなら、尚更である。二千騎と二千人の歩兵が討たれ、五千余の兵が負傷し、全軍のおよそ半数が戦えない状況となった今、フェデリーコ卿が、もはや城攻めどころではない――と説くのも分かる。
しかし、これに怒ったのが王弟ジュリアーノ公である。国王軍としてはあってはならない敗北、失態であったからだ。
この結果を国王に何と言って報告すればいいというのか――?
自分の指揮・統率能力を疑われかねない――という焦りが王弟を苛立たせた。さらに、撤退を主張するニコロと彼を推す一派の意見が大勢を占めだし、諸将たちの間にも厭戦気分が蔓延し始めていたことも、王弟には腹に据えかねた。
大軍で城を包囲すれば、それだけで勝てると謳っていたのも彼らではないか。それを、掌を返したように『撤退すべし』と言い出すとは、何事か――。
その後の軍議では、ニコロを先にする撤退派と、フリッチを代表とする主戦派との間で紛糾した。主戦派は少数であったが、戦功を積みたい王弟の後押しが彼らを強行にしていたのだ。いくら話し合いをしても、軍議は平行線を辿るばかりであった。
しかし、そこへ
王都は先発隊を送った翌日に、さらに掻き集めた兵糧をすぐさま送っていたが、それも察知され、トッドの五百騎、それに今回はグイドとガラムの各一千騎も加わり、輜重隊はなす術もなく全滅した。
軍議の場は凍り付いた。それもそのはず、二回目の輜重隊は先発隊の倍以上、二百両を超す大輸送部隊であることが早馬で通達されていたからである。これで兵糧問題が解決される――と誰もが安堵していた矢先のことであった。
この一報には王弟も考えを改めるしかなかった。大軍で囲めばすぐに勝てると信じてやって来たが、緒戦で大敗し、勝った相手は今や意気軒昂であろう。彼我の士気はとてつもない差が付いてしまった。それに本来、城攻めには時間が掛かるもの。兵糧に不安があっては城攻めは出来ない。
主戦派の者ですら、勝機の掴めぬ今、これ以上の滞陣は無理かと考え始めていた。すでに軍議は夜半にまで及んでいた。王弟も諸将も結論の出ぬ会議に疲れていたのだ。
その矢先、警備の兵卒たちが大声を上げた。
「敵襲ーっ! 敵襲ーっ!!」
予期せぬ夜襲に諸将は慌てふためき、即座に反応出来ない者が多かった。
「何だとっ!?」
「大勝したのに、討って出てきたのか!?」
「直ちに向かい討てっ!!」
「殿下をお護りしろっ!」
幾つもの指示が飛び交い、フリッチを始め、何人かの将軍は陣頭で指揮を執ろうと帷幕を出て行った。しかし、その内の幾人かは自らの保身の為、子飼いの兵を纏めに出たのであった。そんな彼らは、王弟のことなど案じることなく、早々に逃げ出すだろう。
この時、王弟は身動ぎも出来ず、事態に戸惑っていた。次々と相手の意表を突くリキの戦い方は、国王のよく使う戦法であった。
これではまるで陛下と戦っているようではないか――。
現国王が王位を継いだのは七年ほど前だが、それ以前から前国王の代理の大将として、幾度か戦地へ赴いていた。その頃は連戦連敗。眼を覆うばかりの戦績で、戦下手との評価が定まっていたくらいであった。それが、王位を継いだ頃からは連戦連勝の負け知らず、以前とは比較にならない快進撃で、周辺諸国に奪われていた領土を取り戻し、見事それまでの評価を覆して見せたのだ。
その陛下の軍略をリキは学び取り、常勝の将軍として名を馳せて、今の領地を賜り……。
と、そこまで考えた時、はたと気が付いた。
まさか――。
まさか――!?
陛下の方こそ、リキに軍略を学んだのでは……!?
リキが陛下の臣として登用されたのが七年前。それ以降の陛下の戦績と合致する。そう言えば、今まで意識などしてこなかったが、リキとは何者だ? いったい、どこから来たのだ?
「殿下!!」
「!?」
ニコロの緊迫した声に、王弟は思考を中断させられ、現実に引き戻された。
「このままでは事態の収拾もままなりません。念のため、今の内に避難を!」
「避難だと!? 退けと言うのか!?」
椅子を蹴倒す勢いで立ち上がりながら、王弟が怒鳴った。握る拳が
征伐に赴いた自分が逆に追い立てられ、逃げ帰るというのか?
「殿下の御身こそ大事。今はどうか……」
宥めるニコロの声をかき消すように、轟く馬の蹄鉄の音と兵たちの悲鳴。敵はすぐそこまで来ている。
「殿下!!」
「分かった」
王弟もさすがに観念し、避難を決めた。ニコロを先頭に歩き出し、帷幕を出たところで左前方の兵たちを騎兵が蹴散らすのが見えた。
燃え盛る松明の灯りに浮かび上がる朱塗りの甲冑で統一されたその軍勢は、勇猛で鳴るガラムの千騎であった。王弟も彼の勇名は聞き及んでおり、国王にその戦功を称賛された時に姿を見たことがあった。部隊の先頭で駿馬を駆るガラムが、ちら、とこちらを見た気がしたが、彼はそのまま駆け抜けて行った。
ガラムはリキから、王弟をけして追い詰めることが無いよう、厳命を受けていたのだ。王弟が死ねば、国王は躍起になって攻めてくるだろう。だが、それに対処するには兵力差がありすぎるため、今のリキ軍の規模からして得策ではない。この戦では王弟軍を退かせることこそが肝要である――と指示を受けていた。
しかし、間近で敵兵を見た王弟は肝を冷やした。初陣ではなかったが、〝王弟〟という立場上、これまで前線で実際に敵兵と矛を交えたことはない。大勢の側近たちに護られながらの参戦だったのだ。それとて、将軍や参謀たちが作戦を立案・実行していたものだ。彼自身は何もしたことがない。それゆえ、これほど間近にまで敵に迫られた王弟は例えようもないほどの恐怖に駆られた。
「ひっ……!」
顔が引き攣り、身動きも取れない王弟を見て取り、ニコロが代わって大声で指示を飛ばす。
「馬だ! 馬を連れて来い!! 早く!!」
すぐさまやって来た馬に王弟を乗せ、ニコロも自分の馬に乗るや、
「行きますぞ!!」
と、王弟に告げ、駆け出した。王弟も馬に乗ったことで我に返り、
「お、おお……」
と、護衛の騎馬とともにニコロの後に付いて一目散に走り出した。その途端に後方から新たな敵騎馬隊が現れた。
「ひっ、ひい……!!」
恐怖で後方を振り返ることも出来ずに、王弟は馬を駆った。周りには護衛の十余騎だけが付き従っていた。怖気付いた王弟は断を下す。
「に、逃げるぞっ! ニコロ!! 国元へ帰るぞ!!」
「はっ!!」
前を行くニコロに、王弟は方針を告げた。殿下の同意を得たニコロは、本陣から王都へと帰る道に進路を取った。だが、背後には敵騎兵が殺到してくる。僅かな護衛だけで大軍――と王弟は感じた――に追われた王弟は生きている心地がしなかった。自軍の兵を見捨てて逃げているといった自覚もなかった。
街道を進み、森を抜け、山沿いの隘路まで来たところで、ようやく一息吐いた。
「この隘路を抜ければリキ将軍の領外です。敵もそこまでは追って来ないはずです」
「そうか」
振り返ってそう告げるニコロの言葉に、王弟はようやく安堵して頷いた。しかし、左右を山に囲まれた隘路では逃げ場がない。ニコロは油断なく隘路を見据えて、
「早く抜けてしまいましょう」
と、馬を進めた。しばらくは何事もなかったが、隘路を進む一行の前を突然、岩や丸太が崩れ落ち、道を塞いだ。
「何事だっ!?」
左右の高みを見れば、弓を手にした伏兵がずらりと並んでこちらを狙っていた。後方では回り込んだ騎馬が退路を断っていた。強行突破をして後戻りするには、左右の弓兵も正面の騎兵も多過ぎる数だった。
ニコロの不安は的中した。油断していたわけではなかったが、追って来ていたはずの敵騎兵が、いつの間にかいなくなっていることも、逃げ切ったものと捉えていたのだ。しかし、実際には、王弟たちは狭い隘路に巧妙に誘い込まれていたというわけだ。
「無様な生き恥を曝すよりは、いっそ討ち死にを……」
「王弟様、それはなりません!」
自暴自棄になって討って出ようとする王弟を執り成すニコロの声に被さるように、
「ここで死んでも無意味ですぞ?」
と、リキの声がした。王弟たちが見れば、退路を塞ぐ騎馬兵の中から、リキが単騎、進み出てきた。単騎といっても護衛や弓兵たちはおり、たとえ王弟たちが決死の覚悟で襲いかかったとしても、リキを殺せる可能性はほとんどなかった。
「リキ! 貴様……!」
「ここで討ち死にされても、それこそ無駄死にというものですぞ」
「叛を起こしておいて、何を言うか!!」
「やはり、謀反を起こしたことになっておるのですか。う~ん……」
と、リキは困惑した表情で頭を掻いた。およそ緊迫感の無い風情に、王弟たちも気を削がれた。それでも、
「ここで私を殺すか?」
と、この状況に焦れた王弟がリキに問うた。リキは真顔に戻り、静かに答えた。
「いいえ。されど、次にこのようなことがあれば、殿下であろうと首を刎ねますぞ。しかしながら、此度は殿下に是非、アンジェロ国王陛下に伝えて頂きたいことがあります」
「何だ、それは?」
「はい。陛下にはこの様にお伝えください。『これからは、ともに覇を競わん』――と」
「何だと……? それは……」
リキの言葉の意味を理解した王弟たちが驚きの声を上げたが、リキは委細構わず、
「陛下が討伐軍を起こさねば、このような事態にはならなかったかも知れませんが……それも今では詮無きことです。さて、では殿下。どうぞ王都へお帰り下さい」
と、王弟たちの後方――王都へと通じる道を示した。振り返れば、兵卒たちが道を塞いでいた木々や岩を片付けていた。他に手立ての無い王弟たちは、再び通じた王都への道をすごすごと進み始めた。
リキは王弟たちの姿が見えなくなるまで、その場で見送っていた。その傍に、クレアが馬を寄せてきた。
「よろしいのですか?」
「宣戦布告のことか? それとも、王弟を見逃したことか?」
「どちらもです」
「見逃したのは、やはり甘いかね」
「はい。甘々です」
クレアに即答され、リキは苦笑した。
「でも、ま、王弟に告げた通り、今回だけさ。次はない」
「はい。ですが……」
「うん?」
「一度目は許すのも、リキ様らしいです」
「そうかい?」
「はい。実に、リキ様らしい」
クレアは優しい微笑を浮かべた。リキは照れ隠しに、頭を掻いた。
「まあ、もう一つの方は、遅かれ早かれ、こうなっておったろうさ。さて、これから忙しくなるぞ。兵ももっと集めなくてはならんしな」
「はい」
「では、こちらも帰ろうか。引き上げだ!」
リキは背後の軍に撤退の号令を出し、呼応して勝鬨を上げた兵たちは撤収を始めた。
リキは制圧した王弟の本陣跡に戻り、討伐軍の負傷兵五千余、今夜の夜襲で負傷した三千余の歩兵、千余の騎兵を城へ運び、治療させた。その上で、以後の去就についても自由にさせた。
つまり、リキ軍に残るも国王軍に戻るも好きにしていい――というのだ。さらに地元へ帰るのならば、帰郷に必要な日数分の食料も支給するとした。しかし、元々、地元で職や住まいにあぶれて兵卒になった者たちが多かったので、ほとんどがリキ軍に残った。その結果、リキは八千余の歩兵、千余の騎兵と駿馬を一夜にして得ることになった。これで彼の擁する兵力は一万三千余。元の倍以上の兵力である。
続いて、リキはフェデリーコ卿を探させた。
誅殺された――という報告は諜者から上がってこなかった。それならば、軟禁されているはずだ、とリキは考えたのである。ほどなくして、陣の外れにある帷幕に囚われていたフェデリーコ卿が発見された。
リキはすぐに面会に向かった。帷幕に入って来たリキの顔を見るなり、フェデリーコ卿が言った。
「大勝されたそうですな。さすがはリキ将軍」
「通り一遍の挨拶など結構です。まあ、それでこそフェデリーコ卿」
「そちらこそ、世辞は結構。何用かな?」
「こちらに付く気はありませんか?」
「ほう? こんな敗戦の将を?」
「敗戦の将などと……此度の戦、貴公は戦ってなどいないではありませんか」
「いやいや……。内通の疑念を持たれ、兵権を剥奪されるように仕向けられた……その時点で敗北している」
「まあ、敗北云々はこの辺で置いておくとして……如何です?」
「主君に弓を引く気はない」
「さすがは忠義の士です。仕方ありませんな」
「では、この首を刎ねるか?」
「いえ。貴公を解放致しますので、どうぞ、ご随意になされるがよろしいかと」
解放するので、自軍に戻っても良いというリキの言に、フェデリーコ卿は眉を顰めた。
「? 良いのか?」
「もちろん」
「捕らえた敵将を、わざわざ放すというのか?」
「はい。ただ……解放された貴公が王都に戻られても、陛下や王弟殿下が信用なさいますかどうか――ですが……」
「むっ……」
「ここは中央の官を辞し、所領に戻られ領国の経営に専心なされるのがよろしいでしょう。もっとも、こんなことは〝釈迦に説法〟でしたかな」
「うむ? 何だ、それは?」
「私の生まれ育った国の言葉でして……その道のことを知り尽くしている人に、それを教えようとする愚かさの例えです」
「いや、面白い」
感心した顔で頷くフェデリーコ卿を、リキは嬉しそうに見つめ、
「ま、それはともかく。向こうに馬を用意しておりますので、どうぞご自由にお使いください」
「何か意図があるのか……?」
敵将に対しての余りの厚遇に訝しむフェデリーコ卿に、リキは無邪気な微笑を向け、
「何も」
と告げた。
「忠義の将はいつの世も稀少ですから。さて、後の事は貴公の運次第です」
「まあ……そうだな」
フェデリーコ卿はそう言って、解放された扉を抜けた。フェデリーコ卿はこのリキという男に好感を持った。味方である国王軍にいた将の誰よりも、敵将の方に好感を持つというのも変な話であり、同時に残念な事でもあった。
だから――、つい聞いてみたくなったのだ。
「ああ、最後に一つ聞いてもいいかな?」
帷幕の外へ向かおうとしていたフェデリーコ卿が、振り向いてリキに問うた。
「何でしょう?」
「貴殿は本当に謀反を企てたのか?」
「それは……」
そう聞いた時にリキが浮かべた表情を、フェデリーコ卿は生涯忘れなかった。
その後、彼は自領に戻り、内政に専念した。そして、二度と中央の官に出仕することはなかった。やがて、家督を嫡男のフランシスコに譲った後は隠棲し、表舞台に出てくるのは、ここぞ、という時に諫言する場面だけであったという。
この日の戦いは、のちに〝コロナスの擾乱〟と呼ばれることになる、国王アンジェロ陣営とリキ陣営及び周辺の勢力による、長い戦いの幕開けでもあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます