第19話

――――――……






『どーしたの?泣いているの?』






『……っ』


『あたしが話きいてあげる!』




『…っ、あのね、皆には“お母さん”っていう人や“お父さん”っていう人がいるんだって』



『うん?』




『……僕には、いないんだ。神様がくれなかったんだ』





すくっと立ち上がった幼い少女は、はいっ!と言って、手を差し伸べた。


『あなたが立てないのなら、あたしが支えてあげる!』




そう言って、手を掴もうとしてきた。




その手を、綺麗な顔立ちをした少年は思い切り振り払った。





『ダメだよ、……僕に触っちゃいけないんだ。…不幸が、起きるんだって皆がいうんだ…』

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