第16話
「……」
そのときふと、俺の中で何かが想われた。
俺は、何が。
“悪魔になんか”だと?
それは自分が弱い証拠で。
身分を言い訳にして、そんな自分を守り。
今まで、気づかぬ振りをしていたのだ。
私はきっと、今、この紅い目の前で涙を流す天使を幸せにするために生まれてきたのでは――…?
だってもう、こんなにも愛おしい…。
「ごめん…」
「…っ…?」
「迷惑だなんて、嘘だ…」
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