第2話

「いいよ」




そう言って俺は微笑む。



それにホッとするお前。




「なぁーんて言うと思ってんのか、この野郎っ!!」



「のーーーーーーーーーーんっ!!」




渾身の力を込めて、俺は相棒の頬をツネリ伸ばす。




「いにゃにゃにゃにゃっっ」



「毎っ回、毎っ回、俺を囮にしやがって」



「つつつ強いからっ、強いからえーやんっ」



「うるっっせぇ!雑魚でも数が多いとウゼェんだよっ!」




俺達"鬼"は圧倒的に強い。


身体能力、治癒力、寿命。



何をとっても人間よりも優位だ。



だから恐れられ、怯えられ、滅されようとしている。



俺も相棒も争わず静かに暮らしたいだけだなんだがな。



まぁ、それはごく一部で。



後はほとんど、人間など滅ぼせばいいと言う奴らばかりで。



そして人間達は"共存"などという考えは絶対にない。



だから今日も"鬼"を殺しに来る。




ならば俺達も滅せられないように、仲間を守るために戦うしかないんだ。



人間は数も異様に多く、武器も豊富だ。



殺らなければ殺られる。




今も俺と相棒は戦いを終わらせた。




鬼側の勝利で。




鬼の頭領たるコイツと伴侶の俺。




「あたしの……顔を食べても……元気でないじょっ」



「どこのアニメだ、そりゃあ」





顔なんか食べるか。





「その前に……顔……とれないからっ。いい加減に離しぇっ」



「じゃあもう俺を囮にしないと誓うか?」



「それは無理じゃ」



「なんでだよっ!!」




って叫ぶも、知ってんだよ。



雑魚を俺に任せて、お前はいつも厄介な敵に、一番強い敵に向かっていくんだ。



絶対に。



俺を……仲間を守るために。



がっ、そんなの俺は望んじゃいねぇ。



冗談じゃねぇ。



愛する女に守られるとか。



俺が守んだよ、お前をっ。



絶対に死なせねぇ。




俺は柔らかな頬から手を離すと、涙目でこっちを睨んでくる相棒のプックリとした唇に噛みつくようにキスをした。



今度は絶対に俺が




『さっきはごめん』




って言ってやるからな!!




「ふふっ」




俺の気持ちを知ってか知らずか、相棒はそれは美しく嬉しそうに微笑んだ。

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