1546年 家操13歳 鍛錬 犬千代
1546年 家操13歳
河越城の戦い終結
足利義輝 将軍に就任
100人の部隊を率いる許可が吉法師様だけでなく那古野城の家老の方々からも許可が降りた。
色々根回しをしたが、一番は鉄砲の事を一番理解しているのが家操であるからという理由であった。
戦で手柄を立ててないのに部隊長という……ただ役職は油奉行と鉄砲奉行を兼業してほぼ自腹で鉄砲や弾薬を揃えていった。
それに足軽を雇うことになり、中村で気の知れた子供たちの次男や三男等の家を継げない奴らを積極的に雇い、普段は油工場や石鹸工場、計算ができるので商人との売却交渉や吉法師様が鶏の飼育を拡張したいと言っていたので、養鶏場を城の外に作り、そこでも働いてもらった。
中村出身者は30名。
元服した虎徹は前田利虎、伏龍丸は林龍次郎と名乗り、俺の所に参加してくれた。
「家操! 今日からよろしくな!」
「計算や交渉は任せろ」
「利虎、龍次郎……ああ、頼む」
他70名は適当に集められた者達で、俺はそんな荒くれ者達に毎月1貫与えて生活の面倒を見なければならなくなるが、鉄砲隊の練度を維持するための必要経費と割り切った。
職業軍人の誕生である。
彼らには土木工事もできるようにと城の土壁を直させたり、道の整備を行ったりと仕事をとにかく割り振った。
まぁそれ以前に集団行動ができるように小学生並みの行軍訓練を行ったり、木銃や鉄砲を用いて実際に発射はしないが、装填から狙う、撃ったとして次弾装填と言う訓練を行い、一斉掃射の訓練を行っていく。
訓練中の食事は俺が用意することにして訓練の意欲を高めたりもした。
「うーん赤字だな」
米油、石鹸、蝋燭、オナホール、他こまごまとした飲食業(たこ焼きや焼きそば等)を経営して利益を出しており、毎月320貫ほど稼いでいたが、出費の方が大きい。
人件費で毎月250貫支払い、鉄砲や弾薬の購入費や様々な材料費、養鶏代を合わせると合計350貫近くが毎月の出費となる。
30貫……現代換算で360万円近くの赤字を垂れ流している。
一応伊達のアニキからの椎茸利益や大黒屋からの支援金でトントンまで抑えこんでいるが不健全な経営状態である。
「うーん、他に何かあるか……」
自分の領地を持てれば色々解決するがまだ下っ端。
これでも吉法師様からだいぶ優遇してもらっているし……
「まぁ貯金がまだ1万5000貫はあるから当面は大丈夫だが……うーむ」
ただ今これ以上手を広げると俺がパンクすると思い、鉄砲隊の練度向上に注力するのであった。
「「「えっほえっほ」」」
俺はスコップを近隣の鍛冶屋に頼んで作って貰い、熱田と津島を繋ぐ道の拡張工事のために俺と俺の部下の足軽達が駆り出されていた。
「一番早く目標を達成した班は特別報酬が出るからしっかりやれよ!」
「「「おお!」」」
秀吉の逸話で土壁を直す際に競い合わせて修理したという逸話を元に道路工事も同じようにしたら、皆張り切って行った。
俺はなるべく部下の顔と名前を一致できるように努め、現場での鼓舞を率先して行っていた。
「お、鶴さんまたやってますね」
「おう、犬千代! また見回りか?」
「信長様から頼まれて鶴さんが頑張ってるか見に来た!」
吉法師様はこの前元服し、織田信長を名乗るようになり、相変わらず傾奇者みたいな格好で町を練り歩いているが、政務もしっかりこなしているので評価がすごい分かれていた。
平手の爺さんは信長様を高く評価しているし、俺が信長様の傾いている理由が民衆と近い位置で接することで領内の経済状況を確認するためとか、傾いている状態でも信長様に忠誠を誓える部下を揃えたいからという理由を話すと理解してくれた。
ちなみに平手様の息子さん達は信長様に対して親父が頑張って勉学を教えているのに一向に態度を良くしないことに不満を溜め込んでいたが、俺がオナホールを贈ったり、信長様は経済を見ているのですと良い方向に誘導するように心がけた。
ただ林様は那古野城の政務はするのだが、古い考え方のためかどうしても信長様と対立してしまっていた。
信行様の方が当主に適任ではないかと考えているっぽい。
信長様の信長様で小豆坂七本槍で尾張上野城城主の下方貞清と仲良くなったり、犬千代経由で前田勢の取り込みや熱田、津島の商人と懇意にして同地域の将来的な支配を可能にできるよう準備をしたりと積極的に動いていた。
「犬千代は可愛いなぁ」
「えへへ、しかし見慣れない道具を使ってますね。あの穴を掘っている道具は何ですか?」
「あれは円匙という道具で穴を掘る道具だが、武器にもなるんだ。見てろよ」
俺はスコップを磨くとそこら辺の木の枝に思いっきり振り下ろした。
するとスパンと木の枝が綺麗に切られた。
「おお! 凄いです!」
「こうやって斬ることも平たい面で叩けば鎧の上からでも相手を気絶させることもできる。そしてこいつは洗えば鍋の代わりとして使うこともできる」
綺麗に洗ったスコップで魚を焼いて犬千代に渡した。
「美味いです! 泥臭いかと思えばそうでもなくて! こんな物を思いつく鶴さんはやっぱり作っている所をみたらどこかに消えるんですか?」
「鶴の恩返しじゃねぇんだから消えねぇよ」
「そうでしたか! なら良かった! この犬千代! 信長様の打ち出の小槌と呼ばれる鶴さんが消えるのは嫌ですからね」
「俺打ち出の小槌っていわれているのか?」
「はい! それはもう色々な事を思いつきますから!」
「そ、そうなのか……犬千代、お兄さんの体調はどうだ?」
「やや悪いです。顔色もあまり良くないですし、よく咳をしていますし」
「そうか……前田の兄さんが倒れられると信長を支えてくれる人が減るからなぁ」
「何か方法はありませんか?」
「肉を食わせて元気づけるか。鶏のそぼろを今度持って行くから飯に乗っけて食べよう」
「わーい!!」
犬千代は子犬の様な奴で将来前田利家になるが、織田家の多くの人から愛されていたのがよくわかる愛らしい性格をしていたし、めちゃくちゃ美男子だった。
そりゃ信長様のお手つきになるわとも思う。
こいつが将来戦国屈指のロリコン孕ませ製造機になるのだからわからないものである。
「お前ら一旦休憩! 芋煮用意したからたべっぞ!」
作業をしていた者達に休憩の号令をするのだった。
「家操、初物が私来たけど抱かないの?」
「体ができてないうちに子供ができたら難産になったりするらしいからあと2年は待ってくれ。俺は智を失いたくないから」
「家操!」
「智!」
相変わらず家ではイチャイチャすることの多い俺と智だが、来年には家操の初陣が待っているのだった。
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