第5話   おっとっと

豊道公園の奥にある樹齢130年の木は、立派に立っていた。

ヨウイチが「大きいな。やっぱり立派だ」と上を見上げてみると枝と枝が分かれて居て、立派に呼吸をして居るようにも思えた。

自然の空気、カラスの鳴き声、何処からともなく虫の声が、こちらに向かって泣いて居るように思えた。

またまた何処からかつまらない様子で「ね?そんな木の前で立って居ても、つまらないよ。何処か出かけようよ」とレイカが遠くから声を掛けた。

ヨウイチが「また、レイカかぁ。もう、つまらないなら1人で行けば良いだろう?」とレイカを上から目線で話し掛けた。

レイカが「そんな冷たい事を言わないでさ」とヨウイチに誘いを断られていじけて居た。

ヨウイチが「この自然があるから、人間みんな綺麗になって生きていけるんだから、もっと感謝しなければならない。当然だと思っては行けないから、人も同じく大切にしなければならない」と何故か、偉そうな発言をしていた。

レイカが「でも、皆、人間は何でも物を大切にせず捨てようとする。だから、自然が人間に怒りを持ってしまったと言いたいんでしょう?」とヨウイチのセリフを続けて言った。

ヨウイチが「もちろん。俺は自然のそのままの姿が好きなんだ。季節には季節の彩りがあるからな」とレイカに話をすると、レイカは「はいはい。そんな話耳にタコができる程、聴いたよ」とヨウイチに呆れていた。

レイカが「じゃ、断られちゃったし、家に帰ってテレビでも見るかな」とベンチから腰を上げた。

ヨウイチは「俺は此処に残って、豊道公園で本でも読んで行こう」と楽しそうに笑顔を見せていた。

豊道公園で本を読んでいるヨウイチは、突然目が霞んできて、字が読めなくなってしまった。

目医者が近くにあり、その目医者からは「あなたの目は近視ですね。メガネを作って掛けるようにして下さい。免許を取る際も、眼鏡使用でお願いします」と言われたのだ。

突然の近視宣言に驚いて目をまん丸くしていたヨウイチは、「分かりました。メガネを掛けるようにします」と目医者の指示に従った。

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