　新たな鎌倉の平和を築くため、義貞と梨花は町を訪れ、民衆の声を聞くつもりだったが、彼らは途中で噂を耳にした。それは、安達が原に住む鬼婆の話だった。

*「あの鬼婆は人々を襲い、恐怖をもたらしている。どうにかしなければならない」*

市民たちの不安を感じた義貞は、鬼婆の元へ向かう決意を固めた。梨花はその決断に賛同し、共に向かうことを誓った。安達が原にたどり着くと、周囲には不気味な静けさが漂っていた。地元の人々は、鬼婆が現れるのを恐れ、近づくことすらためらっていた。

*「鬼婆は夜になると現れ、旅人を狙うと聞く」*

　義貞は仲間たちに指示を出し、周囲を警戒させる。彼は鬼婆が登場するのを待ちながら、民衆の恐怖を和らげるために何をすべきか考えを巡らせた。

夜が訪れたその時、突如として暗闇の中から不気味な笑い声が響いてきた。義貞たちがその声に振り返ると、身の丈を超えるような巨体を持つ鬼婆が現れた。

*「フフフ、また一組の小さな者どもがやってきたか！」*

彼女の目は獲物を狙う獣のそれだった。義貞は背筋を伸ばし、恐怖に屈することなく一歩踏み出した。

*「我々はお前に戦いを挑みに来たのではない。むしろ、何があったのかを知りたいのだ」*

　鬼婆は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに笑みを浮かべた。その笑い声は冷気を伴い、周囲の空気を凍りつかせた。

*「ふふ、珍しい小僧だ。話をするには良いタイミングだが、私には他に理由があるのだ」*

　彼女は自らの過去を語り始めた。かつては美しい女であり、村人たちを助けていたが、心を閉ざしたことで鬼となってしまったとのことだった。

*「人々が私を恐れ、私を孤独にした。だから、私は復讐を選んだ」*

　義貞は鬼婆の言葉を聞き、彼女の心の奥にある苦しみを理解することができた。

*「お前が求めているのは、復讐ではなく、理解なのではないか？」*

　義貞は鬼婆に提案した。彼女が持つ力を鎌倉の復興に生かす道があることを伝え、彼女にとっての新たな希望を示すことができるのではないかと。

　鬼婆はしばらく考えた後、彼女の目にほんの少しの輝きが戻った。

*「お前は私の過去を理解したのか…。そうか、ここで新たな道を選ぶこともできるのか」*

　義貞の誠意が鬼婆の心に触れた瞬間だった。彼女は新たな選択をする決意を固め、義貞と梨花の提案を受け入れることにした。

　義貞と梨花は、鬼婆と共に新しい鎌倉を築くための手を結び、彼女の持つ力を正しい方向に向けるための道を模索することとなった。

*「このままでは私も周囲を傷つけてしまう。お前たちと共に、新しい未来を築こう」*

鬼婆の言葉には、初めての穏やかな響きがあった。義貞たちと彼女は、共に新たな鎌倉の未来を築く旅に出る決意を固めたのだった。

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### **次回予告**

次回は、義貞たちが鬼婆と共に新たな試練に立ち向かう様子が描かれます。民衆との絆を深めながら、彼らはさらなる困難を乗り越えていくことができるのか？

次の物語も、お楽しみに！

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