機晶の姫と夢見る空道
mii
プロローグ 滅び行く空
夜空が、音もなく裂けた。
白金の稲妻が雲を貫き、空中都市アステリアの塔が崩れ落ちていく。
煌々と燃える魔素灯。
浮遊基盤が軋みながら傾き、空に浮かぶ王都は、ゆっくりと沈んでいく。
魔素脈の暴走――それが世界の終わりだった。
「姉さま!」
吹き荒れる風の中、リィナは崩れた回廊を駆け抜ける。
石床は砕け、魔素の結晶が宙に舞っていた。
だが、その先にいる背中は、ただ静かに立っていた。
「どうして、こんなことを――!」
返事はない。
リィナの声は、熱風にかき消された。
「やめて……! お願い、戻って……!」
風が止む。
振り返った金髪の少女が、瞳だけを動かして言った。
「私は、“最終命令”を遂行するだけ」
「そんなのっ……命令なんて関係ないよ!」
「……秩序なき時代に、未来はない。ならば、私が終わらせる」
遠くで塔が崩れ、悲鳴のような魔導音が響いた。
「それが、姉さまの答えなの……?」
リィナの足元に、魔素のひび割れが走る。
地面が砕け、空中都市がゆっくりと崩壊を始める。
「姉さま――!」
リィナが手を伸ばした瞬間、光が弾けた。
まばゆい白。
砕け散る魔素結晶。
浮遊基盤のひとつが崩れ、ふたりの距離を裂いていく。
「さようなら、リィナ」
かすかな声。
そして、空が――落ちた。
リィナの意識は、砕けた床ごと深く沈み、
魔素の奔流に包まれながら、ただ一言を胸に残して消えていった。
「……また会えたら……わたしは――」
そう願いながら、少女は眠りについた。
そうして、再び彼女が目を覚ますのは――三百年たった後の世界になる。
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