第3話

「じゃあ買い替える。前のと同じ種類のにしとくね」


煙を吐ききった後、灰皿の上で煙草を完全に消してしまう

いつも家に帰る道とは少し遠回りをして帰る


多分カレー屋さんに向かってるんだと思う


乾 鳴海(いぬい なるみ)


この男のことは未だによく分からない。

出会って数ヶ月


気がつけば初めてあった日から季節が変わっていて、夏になろうとしていた


スーツを着ていて

タバコをよく吸って

香水が着いていて

お酒をよく飲む


赤毛の男


そして、体に真っ赤な花の刺青がある

肩甲骨の右下から右わき腹にかけて咲く綺麗な花を鳴海は「俺の誇りで、象徴」だと言った



サラリーマンでないことは確か

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